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DPDHL、ドイツでコロナワクチンの管理受託

2020年12月9日 (水)

メディカルドイツポストDHLは現地時間の8日、ドイツ政府から新型コロナウイルスワクチンの管理を受託したと発表した。氷点下70度を維持する最新機器と倉庫を使用し、北西部のニーダーザクセン州向けに220万回分のワクチンと350パレットのワクチン機器を保管・輸送するもので、ほかの州でも契約交渉の最終段階にあるという。

▲一部のワクチンはマイナス70度などの超低温での保管が必要(出所:DHL)

DHLはニーダーザクセン州からの委託契約に基づき、220万回分のワクチンと350パレットのワクチン接種装置を「140か所を超えるライフサイエンス・医療向け物流施設のうちの2か所」に保管し、そこから州内の予防接種センターや病院にワクチンを輸送する。

同社は「独バイオNテックと米ファイザーの新しいmRNAワクチンを極低温で保存しなければならず、マイナス70度で保管・流通させることが課題。こうした低温域に対応するための冷却・輸送能力を保有している物流会社はごくわずかだが、当社は将来を見越し、初期段階から深冷凍ファームと冷蔵施設の拡大に投資してきた」と、事前準備が功を奏したとの見方を強調。マイナス20度や2-8度で貯蔵するワクチンのための冷却スペースも確保している。

日本の対応はいかに

米ファイザーの新しいmRNAワクチンは、わが国も採用が決定している。
今はその保管と輸送方法についての公式に統一された情報提供を待っている状態だが、本記事のようないわゆる「業務フロー」に類する具体的で数字の入った情報が日本国内でも必要だ。

仮に同ワクチンを空輸するとして、空港でフォワーダーから誰にどう引き渡し、どのような設備(マイナス70度が維持できる車載可能なもの)のどのような手段(陸路か空路かなど)で移送し、どこ(冷凍設備のある倉庫などの施設)を経由するのか、または空港から接種現場である医療施設に直送するのか――などの基本フローを迅速に発表してもらいたい。

政府の指針を実務化する幹事会社から基本フローに則った各工程を各ブロック各都道府県各市町村で完結させる事業者の選定を確定し、準備から実行までの時間を最短化しなければならない。

「できることは余すことなくやり遂げる」と腕まくりして実行者としての指名を待つ物流事業者は数多いと信じる。メンバーが揃ったら、あとは政府のキックオフの笛ですべてが動き出すはずだ。(企画編集委員・永田利紀)