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厚労省、ワクチン円滑供給に備え物流準備に着手

2020年11月26日 (木)

行政・団体厚生労働省は26日、新型コロナウイルスワクチンが承認される際に国内への供給を円滑化するため、ドライアイス入り保冷ボックスやマイナス70度、マイナス20度といった低温・超低温で保管可能な冷凍庫の準備に入ったことを明らかにした。

ワクチン供給で国が担う役割はワクチンの確保、国民への情報提供、卸への流通委託といったことが想定されているが、「実際の流通を卸に丸投げするのはありえない」とのスタンスで、どのような温度要件のワクチンが承認される見通しなのかを想定し、承認後、速やかに流通させることができる体制を整える。

現状では準備すべき温度要件が定まらないが、実際にワクチンが承認されるタイミングに備え、マイナス70度やマイナス20度をキープしながら輸送・保管が可能な冷凍庫の情報を収集するとともに、その際に国が流通を委託することになる医薬品卸の担当者らと情報を共有する。

新たに開発が進められているワクチンのうち、米ファイザーなどが開発を進めているワクチンは、細胞内の遺伝物質「メッセンジャーRNA」を人工的に合成して生成されることから「メッセンジャーRNAワクチン」と呼ばれ、長期保管する際にはマイナス70度以下で保管する必要がある。一方、米スタートアップのモデルナが開発するワクチンの保管温度は、家庭用冷凍庫の「マイナス18度以下」に近いマイナス20度以下とされている。

国内でも数社が開発に取り組んでいるが、承認されたワクチンがない現状では実際に流通するワクチンの輸送・保管要件が大きくばらついてしまうため、物流手段を確保するには、流通するワクチンの見通しをある程度絞り込まれることが前提となる。

ただ、温度要件や短期間で大量のワクチンの供給が必要になるなど、物流上のハードルが高くなることも想定されることから、ワクチンが承認されてから準備に入るのでは間に合わなくなる可能性があるため、当面は温度要件の厳しいマイナス70度の輸送・保管を視野に入れた準備を進めていくものとみられる。