ECSBSロジコムは11日、同社ウェブサイト内の通販物流に関する情報を大幅に拡充した。コロナ禍におけるEC需要の拡大を受けたもので、これまでは「庫内オペレーション」のサービスの1つとして紹介してきたが、サービスの内容や実績、導入事例などに関する情報を追加し、新たに「通販物流(EC物流)」のページを設けてアピールする。
追加したのは「通販物流(EC物流)」のトップページ、即日出荷を実現するセンター運営に関するページ、5件の導入事例に関するページ、宅配便発送代行や「SBS宅配便」を紹介する通販配送ページの計8ページ。今後はECサイトの構築・運営、コールセンター、ささげ(採寸・撮影・原稿執筆)、代金決済などの業務に関する情報も追加し、同社のフルフィルメントサービスを訴求する考え。
■SBSロジコム「通販物流(EC物流)」へのリンク
https://www.sbs-logicom.co.jp/lgcm/physical/ec-logi/
拡がる裾野と狩場の棲み分け解除
まだひと昔にも満たない数年前まで、大手物流企業にとってはEC分野は狩場ではなかった。それはひとえに有力荷主の商流に直販もしくはそれに準じた物流形態の需要が少なく、市場としての外郭がはっきりしていなかったからだ。今までもっぱら中小物流企業の主戦場だった分野に大手物流が姿を現す傾向は、今後ますます顕著になるだろう。
コロナ禍を契機として急拡大したように表現されることの多い物流のEC形態化。しかし、実はそれ以前からほとんどの有力企業は「市場の顕在化は時間の問題」と認識していたはずだし、その動向に敏感な大手3PL各社も「右に倣え」の構えは整っていた。
ヤマト運輸が最新の中期経営計画に織り込んでいるように、「全産業のEC化」とはすなわち、物流形態のEC(通販全般)対応需要が本流となることと同義だ。ただし取り違えてはならない点は、EC企業が多く採用している物流形態に近似した業務が増えるだけであって、ECへの一斉遷移が始まっているわけではないということだ。
B2CではなくB2B2Cの商流は未だ水面下で巨大な潮流として永らえている。巷では流行り言葉よろしく「D2C」(ダイレクト・トゥー・コンシューマー。製造者と消費者の直接取引)と騒がしい限りだが、要は倉庫から経由無しで最終ユーザーにモノが届くというだけで、物流のプロたちからすれば「手数と脚数と口数の多い仕事」が増えるという認識で充分となっているはずだ。
物流の基本原則や業務フロー設計時の約束事には何も変更はない――という説明で過不足はないだろう。(企画編集委員:永田利紀)