ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

スエズ座礁船の「逮捕」に反論、英船主保険組合

2021年4月14日 (水)

事件・事故英国船主責任相互保険組合(英P&I)は現地時間の13日、スエズ運河庁が3月に運河内で座礁したコンテナ船「エバー・ギブン」の所有者に9億1600万米ドル(997億円)の賠償金を請求するとともに、未払いを理由に同船を運河内に留置していることに抗議する声明を発表した。「エバー・ギブンを運河内に留め置き、補償金が支払われるまで乗組員を船から解放しない対応」を非難し、「公正で迅速な解決」を求めるとしている。

同船は正栄汽船(愛媛県今治市)が所有し、台湾の長栄海運(エバーグリーン・マリン)が運航していたもので、23日に運河内を北上していたところを荒天に見舞われ座礁。タグボート数台による連日の離礁活動の末、運河が再び開通した31日まで、運河内の通航を完全に妨げた。座礁による環境汚染や負傷者はなかった。

9億米ドル超の請求額は離礁活動費用に加えて、運河庁が「評判の喪失を回復」するためのもので、英P&Iは「非常に大きな請求額である一方、正当化のための詳細を提供していない」と指摘。英P&Iはそのほか、所有者の正栄汽船が原因調査に全面的に協力していること、運航中の同船に欠陥はなく、適切な船長と乗組員が配備されていたこと、航行が運河庁の監督のもと規則に従って進められていたことを強調している。

なお、英P&Iは米国船級協会が4月4日に今回の案件に関する調査を完了し、エバー・ギブンが運河内湖からポートサイドへと移動するための証明書を発行したこと、所有者の正栄汽船は引き続き、運河庁との交渉を続ける見通しでいることも伝えている。なお、正栄汽船や長栄海運は14日の時点で、運河庁の請求に対するコメントは発表していない。