ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

コンビニ3社、そろってFC車両の実証実験開始へ

2021年8月11日 (水)

話題セブン‐イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートのコンビニエンスストア大手3社は10日、それぞれ店舗配送への燃料電池(FC)小型トラック導入に関する新たな取り組みを発表した。3社は昨年12月にトヨタ自動車、日野自動車と共同でFC小型トラックの実用化に向けた実証実験を行う旨を発表しており、合わせて5万軒を超えるコンビニ店舗への物流において、どの程度の二酸化炭素排出量削減効果を示せるかに注目が集まる。

これまでも店舗配送トラックの一部にクリーンディーゼル車両やハイブリッド型車両、EV(電気自動車)などを導入してきたセブン‐イレブン・ジャパンは11日から、トヨタ自動車が開発した水素を燃料とするFC小型トラックの新型車両の実証実験を、栃木県の水素ステーション併設型配送センターで開始する。2019年に実証実験を開始した既存車両と異なり、複数の温度帯の商品積載や、長距離走行テストが可能で、さらなる二酸化炭素の排出削減を目指すという。

ローソンは、トヨタ自動車が日野自動車と共同開発した水素を燃料とするFC小型トラックの走行実証実験を開始したことを発表。実用性と利便性の検証に向けて、東京都大田区の低温配送センターに1台を導入し、7月30日から都内のローソン20店舗に弁当やおにぎりなどを配送しているという。

使用する車両は日野自動車の「デュトロ」をベースに第2世代のFCシステムを搭載したもので、動力に加えて冷蔵・冷凍ユニットなどの電源も燃料電池で賄う。最大積載量は2650キログラムで、航続距離は260キロメートル。最高速度は時速80キロに達する。

ファミリーマートは、年内の実施を発表していたFC小型トラックの走行実証実験について、10月以降に開始すると発表した。愛知県岡崎市の「ファミリーマート岡崎定温センター」を起点に、トヨタ自動車といすゞ自動車が共同開発したFC小型トラック1台で1日3便の店舗配送を実施。高い配送品質を求められる定温配送で、実用性と利便性を検証するとしている。

FCトラック導入でも3社協働は進むか

コンビニエンスストアは今や日本全国の隅々にまで出店し、生活インフラと化している。各店舗への商品配送の効率化や、輸送時の二酸化炭素排出量の削減は、持続可能な社会の実現の観点からも、地球温暖化抑制の観点からも避けては通れない課題だろう。そしてその対応は、今後の各企業のブランドイメージにも影響する。

コンビニ大手3社はこれまでにも、配送車両用駐車場の共同利用や、共同物流拠点からの店舗配送実験などに取り組んできた。FC小型トラックの導入に関しては、トヨタなどが開発した車両を使用する点を除けば、まずは各社がそれぞれに実験を開始するようだが、今後の協働のあり方次第では、日本におけるFCトラック導入のけん引力となる可能性も大きい。各社の実証実験の結果や、今後の展開に注目したい。(編集部・行松孝純)