ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

長野県、「沖縄国際物流ハブ」で特産品をアジアへ

2021年8月11日 (水)

(イメージ図)

ロジスティクス長野県は10日、県産品の「沖縄国際物流ハブ」を活用した輸出支援事業の参加者を募集する。長野県の青果などの特産品を、香港の店舗や台湾企業のフェイスブックライブコマースでテスト販売する。特産品の海外での販売ルート獲得に向けた取り組みとして、注目を集めそうだ。

「沖縄国際物流ハブ」は、東アジアの中心に位置する沖縄県の地理的優位性を生かした、那覇空港を基点とする国内線・国際線の物流ネットワーク機能。沖縄県は、物流ハブの機能強化を目指し、日本全国の特産品が流通する拠点化を推進している。

長野県の生産者や加工業者と、海外バイヤーや沖縄県貿易商社の担当者をオンラインでつなぎ、「沖縄国際物流ハブ」を活用した輸出を促進する「個別商談会」を、ことし10月26日に長野市で開催。さらに、長野県を含む日本各地の生産者や加工業者の商品を、香港の店舗や台湾企業「北回帰線」のフェイスブックライブコマースでテスト販売する。

申し込みは8月20日までに、所定の様式で沖縄県運営事務局(沖縄コングレ)に電子メールかファクスで提出する。提出先情報や資料は長野県中小企業振興センターのホームページで確認できる。
長野県中小企業振興センターのホームページ
URL:https://www.icon-nagano.or.jp/cms/modules/contents/page/01071.html

「沖縄国際物流ハブ」は特産品輸出で活路を見出せるか

ANAグループと沖縄県が共同で推進してきた「沖縄国際物流ハブ」。東アジアや東南アジアを含めた物流拠点として沖縄の経済振興を図ることでスタートしたこの取り組みは、順調に離陸したと思われた。ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大が、転機を迫ることとなった。

(イメージ図)

ANA(全日本空輸)の那覇空港発着の貨物専用機による貨物便は全便運休が続いている。「沖縄国際物流ハブ」が実質的にANAの貨物専用便に依存していた実情では、ハブ機能の維持は困難だ。そこで、ANAグループと沖縄県はことし1月、沖縄国際物流ハブのビジネスモデルを変更。那覇空港に就航するANAグループのLCC(格安航空会社)ピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)をはじめとする航空各社の旅客便の貨物スペースを活用した輸送スタイルに移行することで、「沖縄国際物流ハブ」の継続を図った形だ。

ANAグループと沖縄県が「沖縄国際物流ハブ」の命脈を絶やしたくないのは、既にこの物流ハブが、沖縄だけでなく国内各地の特産品輸出機能を果たしているからだ。沖縄県は、県産品だけでなくアジアでも高い人気を誇る国内各地の農産品や鮮魚などの特産品に着目。那覇空港をアジアなどへの輸出基地とすることで、物流ハブ機能の強化を図る戦略を掲げる。さらに、アフターコロナ下でもEC(電子商取引)サイトを活用した海外からの国内特産品の注文は増加傾向が続くと分析。観光需要への依存体質から脱却し、那覇空港が物流ハブとして機能を高めるには、こうした海外の需要を取り込むシステム構築が必要と判断した。

今回の長野県の取り組みも、沖縄県のこうした物流ハブ戦略の一環だ。沖縄がその地理的な優位性をフル活用して、物流ハブ機能を維持していく取り組みは、沖縄経済にとっても極めて有効な施策と言える。コロナ禍で観光業に頼りきりの「一本足打法」の産業構造の脆弱さが明確となった今こそ、物流ハブ機能の戦略を再度立案し、アフターコロナ下で新たな需要を創出できるビジネスモデルを構築して再度「テークオフ」してほしい。(し)