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加勢、新施設稼働で沖縄に根付いたビジネスに

2021年8月31日 (火)

琉球FORCE PARK(出所:琉2加勢)

拠点・施設加勢グループの琉2加勢(リュウツーカセイ、那覇市)は8月31日、物流拠点「琉球FORCE PARK(フォースパーク)」(沖縄県糸満市)を9月1日に稼働させること明らかにした。消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配ニーズの高まりに対応した取り組み。琉2加勢は低価格で安定した配送サービスを展開することで、沖縄に根付いた物流ビジネスを定着させたい考えだ。

また琉2加勢は31日、琉球フォースパークの近隣に、200平方メートル程度の広さを持つ危険物倉庫を、2022年夏に完成させる方針も明らかにした。

琉2加勢は、加勢(大阪市中央区)が2020年10月に設立した、沖縄県を地盤とする物流企業。琉2加勢はホールディングス機能を担い、琉球フォースパーク(沖縄県糸満市)と久山フォースパーク(福岡県久山町)内のピッキング作業と流通加工、さらに沖縄県内の小口配送を手がける「琉2ロジ」(那覇市)と、琉球フォースパークを活用して沖縄県民向け通信販売を手がける「琉2ダイレクト」(同市)、沖縄・九州・大阪・関東を結ぶ拠点間輸送を手がける「粋風運」(すいふううん、福岡県久山町)――の事業会社3社を含めた4社で構成する。

琉球FORCEPARKの階層(出所:琉2加勢)

琉球フォースパークは、地上4階建て。特徴は1階の1650平方メートルのチルド庫だ。近々、冷凍設備も追加する方針で、生鮮品などの配送拠点として利用できる。スーパーやコンビニエンスストアのバック在庫を軽減する機能を持たせるほか、流通加工をセンター内で行うバックヤード機能で実店舗外での通販配送センターの構築を目指す。

琉2加勢は、琉球フォースパークの設立を契機として、物流センターと小口配送ネットワーク、仕入れ、配送まで一括で取り組むプロジェクトを開始する。宅配軽車両ネットワークによる配送サービスや、沖縄県内限定の通販「琉2マーケット」をことし10月に開業する予定だ。琉球フォースパークの3階を通販エリアとし、送料無料、翌日配達を基本としたサービスを展開する。

■「琉球FORCE PARK」の概要
所在地:沖縄県糸満市西崎町4-15-11
敷地面積:6679.58平方メートル
延床面積:1万3440平方メートル
交通:那覇空港8キロメートル、豊見城名嘉地インターチェンジ6キロメートル

沖縄独自の物流ビジネスを

関西地盤の加勢による琉2加勢の設立と新事業の展開は、沖縄における新しい物流ビジネスへの期待を高めるきっかけになりそうだ。

沖縄は本土と離れていることもあり、地場の運送会社が独自の物流サービスを展開してきた。EC(電子商取引)サイトによる消費スタイルが沖縄にも浸透してくると、物流のシステムも変革を余儀なくされることから、加勢のような本土資本の物流プレーヤーが新ビジネスを展開する土壌が生まれてきたということだろう。

しかしながら、琉2加勢は地場の運送会社の市場を奪うような粗っぽいビジネスはせず、むしろ共存共栄の考え方で事業を展開するようだ。いわば、沖縄限定の通販ビジネスなど、新しいビジネスを注入して定着させようとしているのだ。ここに、新しい沖縄独自の物流ビジネスの萌芽が見られるように思う。今後の琉2加勢の取り組みから目が離せない。(編集部・清水直樹)