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中国ヒューマノイドロボット、物流現場へ本格投入

2026年2月18日 (水)

ロジスティクス中国製のヒューマノイド(人型)ロボットが、工場や倉庫の現場に続々と入り始めている。2025年に世界で設置された1万6000台のうち、80%超が中国製だった。モルガン・スタンレー(米国)は26年の中国での販売台数を2万8000台と予測し、従来見通しの2倍に引き上げた。テスラ(同)の目標を上回るペースで出荷を伸ばす中国メーカーの動きは、物流の現場にも変化をもたらしつつある。(編集長・赤澤裕介)

2025年の出荷台数で世界トップに立ったのは、上海のアジボットだ。5168台を出荷し、世界シェアの39%を握った。杭州のユニツリーも5500台超を送り出し、集計方法によっては首位の可能性もある。これに対し、米国のフィギュアAIやアジリティ・ロボティクス、テスラはそれぞれ150台ほどにとどまった。テスラのイーロン・マスクCEOも1月のダボス会議で「中国はAI(人工知能)にも製造にも強い。テスラにとって最も手ごわい相手だ」と語っている。

中国がこれほど先行できた背景には、国を挙げた後押しがある。ヒューマノイドロボットは5か年計画で重点技術に指定され、習近平国家主席はこの1年でロボットスタートアップの創業者5人と直接会った。国有通信大手チャイナ・モバイルはユニツリーとアジボットに1760万ドル相当を発注している。加えて、部品の国産化が進んだことでコストが大幅に下がった。主要部品の価格は欧米品の3分の1ほどで、ユニツリーのG1は1万3500ドルから手に入る。モルガン・スタンレーは26年に部材コストがさらに16%下がるとみている。

工場・倉庫で実証進む

物流の現場ではどう使われているのか。1月、英ロボティクス企業ヒューマノイドとシーメンス(ドイツ)がドイツの電子機器工場で実証実験を行った。ロボットがトート(箱)を棚から取り出し、コンベヤーまで運んで並べる作業を自律的にこなした。毎時60回のトート移動、8時間超の連続稼働、成功率90%超という結果で、すべての目標を達成した。シーメンスは「この技術を工場ネットワーク全体に広げたい」としており、追加の活用法を検討中だ。

中国ではユニツリーが2月、G1ロボットを自社の組み立てラインに投入した。ロボットがロボットの部品を組み立てる体制で、SNS上では「研究室から本番の生産現場への転換だ」と話題になった。G1はマイナス47.4度の環境で13万歩を歩く耐久テストにも成功し、冷凍倉庫や屋外物流での使用にも道を開いている。このほか、電池大手CATLがガルボット(米国)のロボットを工場で使い始め、ユービーテック(UBTech)はベトナム国境の通関施設で物流支援の政府契約を獲得した。米国ではアジリティ・ロボティクスがEC大手メルカド・リブレ(Mercado Libre)のテキサス州の物流拠点に「Digit」を導入する。いずれも倉庫や工場で繰り返し発生する肉体作業が最初の使い道だ。

市場の伸びはこれからが本番だ。調査会社カウンターポイント・リサーチ(Counterpoint Research)は、世界のヒューマノイド設置台数が27年に10万台を超えると予測する。25年の6倍にあたり、物流、製造、自動車の3分野が全体の72%を占める見通しだ。モルガン・スタンレーは中国だけで30年に26万2000台、35年に260万台と大幅な拡大を見込む。26年はこれまで中心だった政府・研究機関向けから、企業向け販売へ切り替わる年になるとみられている。

資金面でも動きがある。ユニツリーは26年半ばにヒューマノイド専業として初の大型IPO(新規株式公開)を準備中で、アジボットやユービーテックも上場を視野に入れる。上場すれば生産拡大の原資が得られるだけでなく、これまで外から見えにくかった製造コストや利益率も明らかになる。1月のCES2026ではヒューマノイド出展38社のうち21社が中国勢で、アジボットはベスト・オブ・CES賞を受けた。

ただし、死角もある。中国の国家発展改革委員会は25年末、150社超がひしめく業界にバブルのリスクがあると警告した。デモと量産の間にはまだ距離がある、という声も根強い。中国がヒューマノイドのサプライチェーンの63%を握っている以上、貿易摩擦が起きれば調達に響く可能性もある。それでも、中国メーカーが数千台単位で出荷を続けている事実は変わらない。物流事業者にとって、自社の現場のどこにヒューマノイドが入り得るか考え始めるタイミングが来ている。

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