三菱商事、シェル・カナダと水素製造の覚書締結

出所：三菱商事

ロジスティクス三菱商事は8日、Shell Canada（シェル・カナダ）と、カナダ・アルバータ州エドモントン市近郊でのCCS（CO2の回収・貯蔵）による水素製造に関する覚書を締結したと発表した。三菱商事は、シェル・カナダの化学工場の隣接地に水素製造設備を建設。2020年代後半に年間16万5千トンの水素を製造し、輸送効率の高いアンモニアに転換して日本へ運ぶ計画だ。次世代エネルギー源として注目される水素の実用化をめぐるサプライチェーン確保の取り組みが広がってきた。

水素の製造過程で発生する二酸化炭素は、シェル・カナダがアルバータ州で開発中のCCSプロジェクトにて地下に貯留する。年間1千万トン以上の二酸化炭素を貯留できるための権利取得を目指す。

カナダ政府は、環境に負荷を与えるガスの排出を実質的にゼロとする取り組みのなかで水素を重要エネルギー源と位置付け、水素の主要輸出国であるとともに水素技術のグローバルリーダーとする目標を掲げた。エドモントン市近郊は水素の原料となる天然ガス資源が豊富で、地下には二酸化炭素の充分な貯留容量も確認されている。

日本への輸入にあたっては、水素は運搬が容易なアンモニアに転換する。アンモニアは既に肥料や各種化学品の原料として、運搬・貯蔵などの流通体制が確立している。三菱商事は、これまで培ってきた知見を活かし、水素とアンモニアのサプライチェーン構築に貢献するとともに、安定供給と脱炭素化の両立させることで経済価値と社会価値、環境価値を同時に実現し、持続的な成長を目指す。