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アマゾンとヤマト、自社発送の業者に割安配送料金

2021年10月5日 (火)

ECアマゾンジャパン(東京都目黒区)は、5日に開催したオンラインによるECイベント「アマゾンECサミット」で、年内にもヤマト運輸(東京都中央区)と共同で「マーケットプレイス配送サービス」の提供を開始すると発表した。自社で商品発送を行う販売事業者を対象に、国内の配送サービスを割安な特別料金で提供する。

アマゾンに出品する販売事業者が自社で出荷する全商品を対象に、特別料金でヤマト運輸の「宅急便」「宅急便コンパクト」「ネコポス」の利用できるようにする。出品する事業者は事業の規模にかかわらず、特別な条件交渉や手続きなどを経ずに利用できる。

料金は配送方法別に、販売事業者の前月の利用箱数に応じて3種類設定。前月の利用箱数が500箱以上の場合、最も割安な料金を適用する。

アマゾンジャパンは「自社での出荷を行う全ての販売事業者が特別料金で商品を発送できるようにすることで、特に中小規模の販売事業者は、出荷コストの低減分を品揃えの拡充などの販売戦略に役立てられる」とコメントしている。

アマゾンとヤマト、「新しい生活様式」を見据えた今後の関係性の行方に注目だ

アマゾンとヤマト運輸が、共同で自社発送の販売事業者を対象とした割安な配送サービスを提供することになった。宅配業界で常に注目を集めてきた、アマゾンとヤマト運輸との関係。今後、再び蜜月関係を維持することになるのか。

ヤマト運輸は、アマゾンの日本市場における成長を支えてきた。そのヤマト運輸が、Zホールディングスとの業務提携に踏み切り、業界に衝撃を与えた。アマゾンとの距離を置く戦略かと騒がれたものだが、やはりアマゾンはヤマト運輸の宅配網やノウハウを手放したくはないようだ。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、消費スタイルの多様化を一気に進めた。EC(電子商取引)サービスの普及がさらに進み、アマゾンの利用者層も広がった。世の中を飛び交う荷物の量が増加の一途をたどるなかで、盟主のアマゾンはやはりヤマト運輸を頼らざるを得なかったということか。

「新しい生活様式」で宅配需要が高まり、消費者ニーズは止まるところを知らない。それに対応して、日本郵便と佐川急便の提携など、宅配事業のパラダイムシフトが加速する予感も高まる。自宅で商品を買うのが当たり前の社会が加速するなかで、両社の蜜月関係の行方が注目される。(編集部・清水直樹)