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ソラシドエア、宮崎から首都圏へ即日配送サービス

2021年10月20日 (水)

(出所:ソラシドエア)

ロジスティクスソラシドエア(宮崎市)は19日、宮崎市内から首都圏への小口貨物輸送「ソラチョク便」を開始すると発表した。法人と個人事業主向けは10月27日、個人向けは11月1日にスタートする予定。宮崎産の農産物や魚介類を首都圏各地へ航空便とトラックなどを活用して即日配送する。ソラシドエアは、高速輸送ビジネスを旅客輸送とともに収益の柱とする狙いだ。

ソラシドエアは、ソラチョク便を他の路線にも展開していく計画で、航空便を活用した高速輸送のメリットを生かし、地元産品の直送ビジネスを拡大させていく。

今回開始する宮崎市内から首都圏へのソラチョク便は、法人と個人事業主向けについては指定した拠点間で荷物を輸送する。メールで問い合わせて配送契約を結ぶ必要がある。

個人向けサービスは、宮崎市内で集荷し、東京都の17区と、横浜市の9区、川崎市の4区に配送。配送エリアは順次広げていく。当日の集荷配送は朝9時までの申し込みが必要。宮崎空港発12時45分で東京国際(羽田)空港着14時20分の航空便を活用する。重量サイズ上限は荷物1個あたり20キログラム、3辺合計で160センチ。ソラシドエアのホームページ上の「受注フォーム」(10月28日開設予定)で申し込み手続きを行う。運賃は5キログラムまでが1万円、10キログラムまでが1万2000円、20キログラムまでは1万5000円。

航空業界の生き残りのカギは「物流」だ

航空便を使った荷物輸送サービスが広がりを見せている。ANAグループや日本航空に続いて、宮崎を拠点とするソラシドエアも参入することになった。新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞からの回復が指摘されているものの、航空旅客はコロナ禍以前の水準に戻るかどうかは不透明だ。旅客の回復に依存しない収益確保策として着目したのが、「物流」だった。

ソラシドエアは、九州各地や沖縄と羽田を結ぶ路線を中心とした路線を就航。観光路線が多く、旅客経営基盤は社会動向に左右されやすい。コロナ禍はその典型で、観光需要に依存した経営戦略の負の側面が浮き彫りになった。こうしたなかで着目したのが、農産品や魚介類の大都市圏への直送ビジネスだった。

南九州は農業や畜産、漁業が盛んで、こうした食材は首都圏を中心に人気が高くブランド力もある。輸送量の少なめな昼間の路線であれば、貨物輸送の機能も十分果たせると判断したようだ。空港と集荷・配送先を結ぶトラック輸送業者にとっても、航空便とリンクしたビジネスで付加価値向上を図ることも可能で、新たなビジネス機会の獲得に直結する。

航空各社は、ビジネスや観光旅客への依存から脱却し、貨物輸送に熱い視線を注ぎ始めた。旅客需要がコロナ改善の水準には回復しないとの指摘もあるなかで、今まで発想のなかった旅客便での貨物輸送という新ビジネスは、地方航空会社により大きな恩恵を生み出しそうだ。このインフラでどんなモノを運べるのか。今後は航空輸送サービスを生かしたさらなるアイデアが問われる。(編集部・清水直樹)