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伊藤忠、陸上輸送の再生可能資源燃料ビジネス参入

2021年11月2日 (火)

(イメージ)

産業・一般伊藤忠商事は1日、陸上輸送分野における再生可能資源由来のリニューアブル燃料ビジネスに本格参入すると発表した。伊藤忠エネクス(東京都千代田区)、東部ネットワークの2社と協働で、リニューアブルディーゼル(RD)の商用運送車向け給油拠点の運用を開始。サーキュラーエコノミーや脱炭素社会の実現を目指す。

伊藤忠商事は今回の取り組みを契機として、世界最大級のリニューアブル燃料メーカーNeste OYJ(NESTE、フィンランド)グループとの間でRDの日本国内向け輸入契約を締結。伊藤忠エネクスは国内でのRD輸送及び給油にかかる一連のサプライチェーンを構築した。

これまでは顧客に配送して給油を行ってきたが、新たに神奈川県海老名市の東部ネットワーク社営業所地下タンクを利用した給油拠点の運用を開始することで、周囲に製造工場や物流拠点を持つ企業が給油拠点で直接給油できるようにした。RDの給油拠点設置は日本で初めて。

今回販売するNESTEのRDは、食品競合のない廃食油や動物油等を原料としており、ライフサイクルアセスメントベースでの温室効果ガス排出量で石油由来軽油と比べて90%削減を実現する。RDは主に輸送用トラック・バスに導入し、既存の車両や給油関連施設をそのまま利用することが可能な「ドロップイン」燃料として既に欧米を中心に広く流通実績がある。

輸送業界での脱炭素に向けた取り組みは、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)の活用施策が検討される一方で、その社会実装まで時間がかかると見込まれる。現状すぐに温室効果ガス排出削減に貢献できるRDは商用運送車を有する企業から注目を集めており、今回の給油所設置の取り組みはその需要に対応したものだ。

(出所:伊藤忠商事)

日本国内におけるRDの先行取り組みとしては、ことし6月にファミリーマート(東京都港区)で日本初となるコンビニ配送車両への利用を実現。APモラー・マースク(デンマーク)による国内コンテナドレージ輸送車両への利用、三愛石油による東京国際(羽田)空港内の施設関連車両への利用と広がりを見せている。脱炭素施策にかかる導入コストを最小限に抑え、温室効果ガス排出削減にも大きく貢献できる次世代リニューアブル燃料として、今後陸上輸送分野においてさらなる利用拡大が期待される。