ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

JR東や日航、都市部でのドローン食事輸送を実証へ

2021年11月11日 (木)

(出所:JR東日本)

フード東日本旅客鉄道(JR東日本)とKDDI、ウェザーニューズ、Terra Drone(東京都渋谷区)、日本航空の5社は11日、ドローンを活用したフードデリバリーサービスの実証実験を11月20日に実施すると発表した。

東京都の公募に対して提案した「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」に基づく取り組み。2022年度をめどに制度整備が予定される「有人地帯における補助者なしでの目視外飛行」を見据えて、東京都内で初めて有人地帯での実証実験を行う。

▲ウォーターズ竹芝から浜離宮への輸送ルート(クリックで拡大)

実証実験は、東京都港区の複合施設「ウォーターズ竹芝」内に飲食店舗で調理したメニューを、施設内の広場と700メートル離れた浜離宮恩賜庭園の水上バス発着場の2か所にそれぞれドローンで運ぶ。配送スピードだけでなく、食事がドローンで運ばれてくるプロセスを楽しむエンターテインメント性を検証する。

JRE MALL(モール)で事前にウェブサイト予約を行い、当日は会場で待機。するとドローンで注文してあったメニュー通りの食事が届くという流れだ。食事は広場内のみで、浜離宮恩賜庭園への輸送実証実験は非公開。

ドローン物流が「思い」を運べるかを試す実験だ

JR東日本や日本航空など5社が連携し、都市部におけるドローン輸送実証実験を行うことになった。ドローンによる輸送実証の取り組みは、全国でさまざまな企業や団体が展開しており、もはや珍しくもなくなった感がある。しかし、今回の実証実験で着目したのは、「エンターテインメント性」を検証項目に盛り込んでいることだ。

(出所:JR東日本)

そもそも物流は荷物を輸送する仕事であるが、届ける先には感動や驚きがあるはずだ。社会を支えるインフラとしての使命には、こうした人から人への「思い」の伝達も含まれるのではないか。それはドローンでも変わらないだろう。

今回の実証実験は、ともすれば効率化を優先しがちなドローン輸送サービスに、ある種の「人間味」を持たせることの可能性を試す取り組みとも言える。ドローンで食事が運ばれてくる面白さは、当たり前のことになれば次第に消失するかもしれない。しかし、ドローンにも人手による宅配と同様の「温もり」を伝えられる力があることを示せるならば、非常に有意義ではないか。物流ビジネスの新しい姿を創り出してくれることを期待したい。(編集部・清水直樹)