ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ニチレイロジ、年間27万時間の業務RPA化を実現

2021年11月19日 (金)

フードニチレイロジグループ(東京都中央区)は19日、年間27万時間の業務のRPA(ソフトウェア・ロボットによるホワイトカラー業務の自動化・効率化を目指した仕組み)化を達成したと発表した。

ニチレイロジグループは、グループ全体での業務革新施策の一環として、事務作業の一部をRPA化することで、従業員の「リソースシフト」を進め、顧客の利用体験価値を高めることを目指している。27万時間は物流センター勤務の従業員の年間総労働時間の9%に相当し、2021年度目標を前倒しで到達した。

▲事務作業におけるRPA化時間の推移(出所:ニチレイロジグループ)

ニチレイロジグループのRPA化推進は、IT部門ではなく全国の物流センターをはじめとする事業所の従業員がシナリオの作成を行い、自ら業務を変革していく点が特徴だ。

取り組みを支援するための研修やコンテンツも当社オリジナルのものを開発し、「業務をより良くする」「働き方を変える」という目的を共有しながら、作成者だけでなくサポートに回る従業員も含めた事業所一体での活動を進めている。時間外労働の削減はもちろん、顧客の協力も得ながら業務フローの再構築に成功したケースや、従業員がRPAの知見を活かして業務効率化のプロフェッショナルとして活躍の場を広げた事例も生まれるなど、RPA化による多様な業務効率化を実現する機運が高まっている。

ニチレイロジグループは今後とも業務のデジタル化を推進し、多様な働き方の出来る人財の厚みを増すことで、顧客のサプライチェーンを支える「持続可能な物流」の実現を図っていく。

ニチレイロジグループの事例が示す物流DX化の「成功の秘けつ」

「従業員のRPA化」で「持続可能な物流」を実現する――。少し前の時代までは二律背反の事象と受け止められていたであろう、これら2つの概念を、ニチレイロジグループが両立し始めている。

RPA推進によって捻出できた時間を「付加価値を生み出す時間」と位置付けることで、顧客とのコミュニケーションや「おもてなし」に充てたり、新たな改善活動や多様な働き方の原資とする「リソースシフトイメージ」。これがニチレイロジグループのRPA化の目標だ。

(出所:ニチレイロジグループ)

「残業をやめよう」「作業は無駄なく迅速に」との掛け声は、どこの物流企業でも飛び交っているだろう。でもそれはあくまで手段なのであり、労使間で目標が確認されない限り実効性を持たない。むしろ、仕事の絶対量が減らない状況では反発を招くだけだろう。

ニチレイロジグループがRPAの取り組みを軌道に乗せた最大の要因は、しっかりと目標を定めて共有したこと、さらにその目標が従業員にとってもメリットがある内容だからだ。顧客さらには社会へ貢献できる取り組みに時間を割けることで、より高い達成感を得ることができる。その結果として、顧客の物流業務が改善されるとなれば、まさに関係者全員がハッピーになれるというわけだ。

物流現場の課題解決策として、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の取り組みが注目されている。しかし、こうした先進システムの導入で価値を導く方法を考えるのは、結局のところ人間だ。目的を明確化したうえで手段を効率化する。それがDX化の秘けつではないか。(編集部・清水直樹)