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物流DXで食品ロス削減を、大手小売など7社が実験

2022年1月11日 (火)

フードシルタス、イトーヨーカ堂、今村商事、サトー、凸版印刷、日本総合研究所、日立ソリューションズ西日本は11日、産地から小売店舗、消費者までのフードチェーン全域を3領域に分け、それぞれ食品ロス削減に関する実証実験を実施すると発表した。実験は各社が参画している民間事業所による研究会「SFC(スマートフードコンサプション)構想研究会」の活動の一環で、1月12日から2月28日まで東京都内で行う。

▲フードチェーン全域を3つの領域に分け実証を行う(出所:シルタス)

3つの実証実験は、経済産業省の委託事業「令和3年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用した食品ロス削減の事例創出)」を一部活用する。

産地~小売店舗では、青果物に関する収穫時の状態や形状、色味といった各種情報のうち、未利用だった情報を活用し、実店舗で新たな価値を消費者に訴求する。このほか、IoTを活用して商品の流通過程をリアルタイムで追跡し、状況に応じて店頭やスマートフォン上で販促が可能か検証に取り組む。

生産出荷時にコンテナに電子タグを取り付けることで、卸売業者や小売店での入出荷時に流通状況を把握。消費者の購買意欲を喚起できる適切なタイミングを探る。情報はデジタルサイネージや電子チラシアプリを通じて発信する。

▲デジタルサイネージとスマートフォンアプリケーションにおける情報提供のイメージ

小売店舗での実験は、賞味・消費期限ごとに複数の価格に分ける「ダイナミックプライシング」を導入する。店舗のバックヤードから店頭の価格表示を更新できる電子棚札を活用し、業務効率化や食品ロス削減への効果を調べる。

▲賞味・消費期限別のコードと電子棚札によるダイナミックプライシングのイメージ

小売店舗~消費者で実施するのは、健康をキーワードにした食品ロス削減の効果検証。消費者の購入データや家庭の在庫状況、栄養バランスを考慮しながら、消費・廃棄データを連携させて家庭ごとのオーダーメイドのレシピやおすすめ商品の提案を行う。

▲食事管理アプリの画面イメージ

国内の食品ロス量は企業などが排出する事業系が309万トン、消費者が排出する家庭系が261トンの計570万トン(令和元年度)で、ほぼ半分ずつの比率と推計されている。近年、モノやサービス利用を通じた社会貢献に対する関心は高まっており、各社はこうした取り組みに参加する消費者が今後急増するとみて実験に取り組む。