ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

カンダHD、重量物配送の堀切運輸を子会社化へ

2022年2月4日 (金)

M&Aカンダホールディングス(HD)は4日、堀切運輸(埼玉県八潮市)の全株式を取得し子会社化すると発表した。新規得意先の獲得による事業領域の拡大を図るとともに、堀切運輸の持つ全国ネットワークの活用による輸送網の増強につなげる狙いがある。カンダHDは2月7日に堀切運輸の株式を譲り受ける予定だ。

運輸業界では、消費スタイルの多様化に伴う輸送ネットワークの強化を進める動きが加速しており、今回のカンダHDによる堀切運輸のグループ化もこうした業界環境を反映したものだ。

(イメージ)

カンダグループは、国内外に100か所超の物流拠点を有する総合物流企業として、多種多様な輸送ニーズに対応してきた。堀切運輸は1965年に設立後、段ボール用巻き取り原紙を主とした重量物の配送に特化した経営戦略で事業を拡大してきた。

カンダHDは、堀切運輸が有する関東をはじめ東北・北陸・中京・関西・中四国と幅広いエリアで協力会社と連携した強固なネットワークに着目。カンダグループに輸送網を反映させることで、輸送サービスのさらなる最適化・高度化を推進できると判断した。

今回の堀切運輸の株式取得に伴う2022年3月期連結業績への影響は軽微としている。

堀切運輸の概要
所在地:埼玉県八潮市西袋386
代表者:代表取締役社長 佐藤博樹
資本金:1500万円
売上高:12億4300万円(2021年3月期)

運輸会社の「合従」は持続的な物流サービスの確保に必要ではないか

運輸会社による「合従」の動きが広がるきっかけになるのか。カンダHDによる堀切運輸の子会社化は、輸送ネットワークの強化に腐心する運輸業界の事情を浮き彫りにしていると言える。

運輸会社は消費スタイルの多様化に対応するため、輸送網の拡大だけでなく、高まるスピードの要求水準にも対応する必要に迫られている。止まるところを知らない社会の輸送品質向上の要請に、もはや単独では太刀打ちできない状況に追い込まれているのが実情だろう。

(イメージ)

総合物流企業グループであるカンダHDは、重量物に特化した配送網を確立した堀切運輸のリソースは、非常に高い親和性を抱いたことだろう。特定領域で圧倒的な存在感を示すビジネスと、広範なネットワーク。物流企業の持続的な成長に欠かせない不可欠な二つのリソースを一挙に手に入れることができるからだ。カンダHDが堀切運輸の全株式を取得するところにも、こうした思惑がうかがえる。

運輸業界では、2021年11月に岡崎通運(愛知県岡崎市)が熱田運送(名古屋市熱田区)の事業を継承するなど、さまざまな理由で事業を統合する動きが広がってきた。「新しい生活様式」の時代を迎えて、物流ニーズの高度化はさらに強まるだろう。

こうした要請への継続的な対応を維持するためにも、運輸企業の事業基盤強化を目的に手を組む動きについて、こと運輸業界においては決してタブー視するべきではないだろう。むしろ、輸送サービスの健全さを確保するには不可欠でさえあると考える。(編集部・清水直樹)

岡崎通運が熱田運送の事業継承、共通項は「自動車」