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トヨタ車体、超小型EVコムスの改良モデル発売へ

2022年3月11日 (金)

サービス・商品トヨタ車体(愛知県刈谷市)は10日、一人乗りの超小型EV(電気自動車)「コムス」を一部改良して4月1日に全国のトヨタ販売店で発売すると発表した。

トヨタ車体は、小型で機動力の高いコムスの特徴を評価し弁当など食品デリバリーサービスへの導入が進む状況を考慮し、最大積載量を従来の30キロから「P・COM」「B・COMデリバリー」で45キロに、「B・COMデッキ」は90キロにそれぞれ変更。B・COMデッキは飲料など重量物の宅配手段としての活用を想定し、積載能力を大幅に向上させた。

その他の改良点としては、パーキングブレーキのかけ忘れや戻し忘れを警告する機能を追加したほか、充電ケーブルを3メートルから5メートルに延長。さらにキャンバスドアの色をブラックからグレーに変更。さらなる安全性や作業性、デザイン性の向上を図った。

コムスは、走行時のCO2排出量がゼロで環境にやさしい性能が特徴。さらにコンパクトな形状から狭い道での走行や駐車がしやすいことから、宅配や宅食などの配送サービスをはじめ、観光や自治体のシェアリングサービスなどの場面で活用されている。

トヨタ車体は、今回のコムス一部改良モデルの発売を契機として、輸送モビリティ用途をはじめとするユーザーの要望を反映した車両の提供をさらに加速していく。

(出所:トヨタ車体)

「コムス」一部改良モデル発売が示す、食品宅配サービスの「定着」

新型コロナウイルス感染拡大で劇的に高まったサービスの筆頭格といえば、弁当など食品のデリバリーではないだろうか。政府や自治体などの要請もあって外出自粛の風潮が強まったのも一因だが、緊急事態宣言の解除後も弁当デリバリー需要はほとんど落ち込まなかったという。それは、もはやこうした食品宅配サービスが国民生活にすっかり定着したことを意味している。

トヨタ車体の「コムス」一部改良モデルの発売は、こうした食品宅配サービスの現状を色濃く反映した取り組みと言えるだろう。コロナ禍の収束とともに感染拡大以前の消費トレンドが戻るとはもはや考えられず、食品デリバリー需要はそのまま定着するとの判断が、宅配仕様というべき「コムス」の改良を後押ししたのだろう。

「新しい生活様式」の時代は、宅配サービスを前提とした消費スタイルが確立するのは間違いない。物流各社も、EC(電子商取引)をはじめとする宅配ビジネスへの対応が至上命題となり、新たな競合環境も生まれてきている。モビリティの業界も、こうした動きを敏感に捉えた車両開発が加速し始めている。「コムス」一部改良もこうした文脈のなかにある取り組みだ。

いっそのこと、物流企業とこうした車両メーカーの協業によるカスタマイズ車両や新たなモビリティシステム開発の動きがもっと広がらないものだろうか。汎用モデルという一定のベースは確保したうえで、物流企業ごとの顧客や配送商材などの特性を踏まえた仕様とすることができれば、サービスの差別化や輸送品質のさらなる向上にも資するのではないだろうか。(編集部・清水直樹)