ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

船舶から避難所への災害用ドローン物資輸送を実証

2022年3月22日 (火)

(出所:ブルーイノベーション)

調査・データブルーイノベーション(東京都文京区)は21日、国土交通省と共同開発した災害用ドローンポートシステムを活用して、荒川に停泊している船舶から避難所に設置されたドローンポートまで、ドローンの自動運航で支援物資を輸送する実証実験に成功したと発表した。

実証実験は、関東地方整備局と東京都、江東区豊洲スマートシティ推進協議会などが実施した荒川決壊を想定した避難実証訓練の一環として、東京大学羽藤研究室と清水建設が連携して実施した。地震・洪水などの災害時における避難誘導・保全に必要となる物資輸送の課題と、国・自治体・学識・民間・住民などの関係先との連携を可視化し、現実の災害に備えるサステナブルな体制構築を図る狙いだ。

▲船舶からドローンポートまでの輸送経路(出所:ブルーイノベーション)

日本では首都直下型地震や南海トラフ地震などへの危機感が高まっており、各方面での震災対策が喫緊の課題となっている。道路水没などで陸路が使えない場合における被災地への救援物資輸送への懸念から、ドローンの活用による施策に期待が集まっている。

ブルーイノベーションは、2016年から国交省や東京大学と共同で災害用ドローンポートシステムの開発を進めてきた。システムの活用により、画像認識による誤差数十センチの高精度着陸が可能なほか、ドローンポートへの人の立ち入りや強風により安全に着陸できない場合に自動で離着陸を禁止させる機能を備えているなど、安全なドローン輸送が実現できるという。

東京大学は人口や人の移動が減るなかで、次世代モビリティを活用した必要十分な公共交通や道路交通の見直しを提言しており、清水建設は東京都江東区を対象とした交通防災まちづくりにおいて、各種モビリティを活用した社会実験を実施。3者が連携し実証実験を行うことで、船舶を起点としたドローンによるラストワンマイル輸送の課題解決を目指す。

実証実験では、江東区を対象に、災害により周辺道路が水没し地域内への緊急支援物資輸送が困難な場合を想定。海抜ゼロ地域に避難所を設置し、海上輸送された支援物資を船舶から避難所に設置したドローンポートへ、システムを利用して安全に輸送できることを検証した。

▲災害用ドローンポートシステムの概要(出所:ブルーイノベーション)