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ニトリ、愛知と埼玉に物流拠点新設で配送力強化

2022年3月28日 (月)

拠点・施設ニトリホールディングスは28日、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に新たに物流センターを開設すると発表した。ホームロジスティクス(札幌市北区)が運用する。

▲(左から)幸手DC、名古屋DC(出所:ニトリホールディングス)

いずれもDC(ディストリビューションセンター・在庫保管型物流センター)として整備。店舗における商品の在庫・配送拠点と位置付け、顧客へのより円滑な商品配送を実現するために物流機能を強化する狙いだ。

愛知県飛島村に整備する「名古屋DC」は、名古屋市内をはじめ東海・北陸地方をカバーする物流拠点と位置付ける。東海・北陸地方で初となるDCの新設により、商品の保管や配送効率を飛躍的に高める。伊勢湾岸に位置しており、名古屋港に近いことから、商品の船舶による取り扱いの利便性も高い。

埼玉県幸手市の「幸手DC」は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「幸手インターチェンジ(IC)」に隣接しており、首都圏各地と上信越地方を対象とした商品配送拠点とする。ニトリの国内物流センターとしては最大規模の広さを誇り、既存の「関東DC」(埼玉県白岡市)とともに、国内最大の消費地である首都圏一円をカバーする物流拠点として整備する。

ニトリグループはこのたびの物流センター整備を契機として、国内物流拠点の再配置を実施。ニトリ店舗の出店加速をはじめ、消費スタイルの多様化に伴うEC(電子商取引)需要の高まりなど事業環境の変化に対応するため、物流機能の全体最適を図る。

■名古屋DCの概要
所在地:愛知県海部郡飛島村竹之郷6-322
敷地面積:7万724平方メートル
延床面積:14万1445平方メートル
構造:鉄骨造、地上4階建て
着工:2022年7月1日(予定)
完成:2023年11月1日(予定)

■幸手DCの概要
所在地:埼玉県幸手市神扇字五反割753-1
敷地面積:10万6433平方メートル
延床面積:21万403平方メートル
構造:鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)、地上4階建て
着工:2022年9月1日(予定)
完成:2024年3月1日(予定)

「新しい生活様式」における成長の成否、キーワードは「物流」だ

ニトリが国内における物流拠点網の再構築を加速している。背景には、店舗販売における顧客サービス向上もさることながら、新型コロナウイルス感染症の拡大を経てすっかり定着したECサービスに対応する倉庫機能の強化を急いでいる実情があるようだ。

石狩DC(北海道石狩市)と神戸DC(神戸市中央区)の整備を進めるとともに、今回新たに2か所で物流拠点を新設するなど、急ピッチで大都市圏を中心とした物流拠点ネットワークを強化している。

その特徴は、大都市圏だけでなく地方エリアへの配送リードタイム短縮を企図しているところだ。店舗ネットワークのみを意識していればよかった、ECの本格普及前とは異なる物流拠点ネットワークを構築する必要が出てきたからだ。

(イメージ)

ニトリは、北海道を地盤に全国に店舗網を築いてきた実績を糧にして、今度はEC時代を反映した物流拠点ネットワークを構築する。顧客ニーズの変化・多様化を敏感に捉えて必要なリソースを全国に展開する。こうした迅速な事業戦略こそが、今のニトリを創り上げた最大の要因だ。

物流拠点ネットワークの成否が、「新しい生活様式」の時代で不可欠な機能になると早々に見抜いたのだ。やはり、アフターコロナ時代の流通は物流ネットワークがカギを握る。この事実を鮮やかに示しているのが、今回のニトリの取り組みだ。(編集部・清水直樹)