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物流不動産の新たな役割――米C&Wがレポート

2022年4月25日 (月)

調査・データ不動産総合サービスの米クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はこのほど、日本とアジアを対象に、今後の物流不動産開発を考えるレポートを発表した。新型コロナウイルス禍や情報技術の急速な進展といった環境変化を踏まえ、開発企業に向けて、(1)施設同士のネットワーク化(2)施設需要の変化(3)施設仕様の高機能化――の3点に留意するべきと説いている。

(出所:C&W)

「アジア・日本における物流不動産の新たな役割~グローバルサプライチェーンからの考察~」 と題したレポートは全部で26頁。同社はまず、世界の物流業界がコロナ禍で都市封鎖や品不足、物流網の根詰まりを経験したことにより、強固で効率的なサプライチェーンネットワークの構築が一層求められていると指摘する。

その上で、日本については、足下の物流不動産の動向を概観しながら、上記の3点の重要性を強調する。「施設同士のネットワーク化」については、これまでの「自動化」「拠点統合」「規模拡大」といった動きに加え、次なるトレンドとして「複数の施設を機動的に連携させるネットワークが策定されていくだろう」と予測する。

「施設需要の変化」については、すでに特色ある物流施設への需要が拡大してきているという。(物流加工の簡易な)工程場が付いた施設や超小型施設、都市型施設などを例示。また、実店舗が配送ネットワークに組み込まれたり、消費者から生産者への逆向きの物流が生じたりといった新たな潮流にも触れ、こうした絶え間ない需要変化に対応していく必要性を説く。

「施設仕様の高度化」に関しては、自動化・ロボット化によって倉庫の天井はより高く、面積はより小さくなっていくという方向性を示す。電力使用は増えるが、一方で環境負荷の軽減も求められる。「何らかの新しい方法での効率化を追求していかなければならない」と、ここは問いを投げかける。

C&Wは最後に、サプライチェーンが突きつけられている課題は、コロナ禍で注目を集めるようになったが、大部分はコロナ禍以前から要因があったとする。変化を(目の前から)覆い隠してはならず、高まる不確実性に対応できる「強靭性」と「柔軟性」に重点を置く必要があると、結論づけている。

レポートの紹介サイト