ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日野の前期最終赤字847億円に、不正行為の影響で

2022年4月27日 (水)

(イメージ)

財務・人事日野自動車が27日発表した2022年3月期連結決算は、売上高が1兆4597億600万円(前期は1兆4984億4200万円)、営業利益が338億1000万円(122億5000万円)、経常利益が379億8600万円(122億6100万円)、親会社株主に帰属する当期純損益が847億3200万円の赤字(74億8900万円の赤字)となり、最終赤字幅が広がった。

日野自動車は「収益認識に関する会計基準」などを今回の連結会計年度の期首から適用していることから、前期実績との比較をしていない。

日野自動車は3月29日、国内市場向けトラック・バス用エンジンの排出ガスと燃費に関する認証申請における不正行為の確認に伴う、出荷停止などによる営業損益の悪化や特別損失の計上を見込み、2022年3月期の連結業績予想の修正を発表。従前の黒字予想から一転、540億円の最終赤字になる見通しを示していた。

しかし、日野自動車は当期と今後の業績動向を考慮して、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討。繰延税金資産を取り崩して337億5700万円を法人税等調整額に計上すると決定したことから、最終赤字の額が大幅に増加した。

とはいえ、トラック・バスの販売状況は海外市場を中心に好調に推移。国内売上台数は、堅実な販売活動を続けた結果トラック・バス合計で前期比3.1%の減少に留まった。海外売上台数は、東南アジアを中心とした市場の回復基調を背景にトラック・バス合計で前期比36.4%増加。その結果、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は前期比18.7%増加した。トヨタ向け車両についても、総売上台数は前期比30.3%増加した。

損益面では、材料市況の高騰などで環境面は悪化したものの、東南アジアを中心とした販売活動の強化による拡販やトータルサポート収益の拡大に加えて、収益基盤の強化も推進。先進技術や事業基盤強化など将来の持続的な成長に向けた投資を加速する一方で、働き方改革による固定費の効率化を進めた。

2023年3月期の連結業績予想は、不正行為の対象となった車種の出荷再開時期を合理的に見通すことが難しいとの理由から、公表を見送った。日野自動車は「合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する」としている。

なお、日野自動車は22年3月期の期末配当について、大幅な最終赤字を受けて実施を見送る。年間配当は第2四半期末の1株あたり10円のみとなる。