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サカイ引越の4月売上高6.6%増、需要回復鮮明に

2022年5月6日 (金)

(イメージ)

調査・データサカイ引越センターが6日発表した4月度の月次売上高(速報値)は、前年同月比6.6%増の128億3100万円となり、前年同月の実績を大幅に上回った。

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞や行動制限の動きを反映し、個人や企業の引越件数も低調に推移していた。しかし、感染拡大のペースが全体として落ち着いてきたことに加えて「ウィズコロナ」の風潮が高まってきたことから、経済活動が徐々に回復。引越需要の回復が顕著化してきていることを物語る数字となった。

売上高が最も大きい関東地区で7.3%増の41億6500万円と大きく売上高を拡大。他の地区も同様に好調な伸びを示した。中部・東海地区が7.2%増の18億9500万円▽近畿地区が6.8%増の22億2700万円▽九州・沖縄地区が6.7%増の20億6500万円▽中国・四国地区が5.3%増の11億3000万円▽北海道・東北地区が3.6%増の12億7700万円――だった。

社会の動きを示すバロメーターである「引越事業」、回復基調は何を示唆しているのか

「引越事業は経済トレンドを示すバロメーターだ」。ある経済学者の持論だ。氏に言わせると、景気動向と引越需要は見事なほどに相関するそうだ。それに照らし合わせるならば、サカイ引越センターが発表した4月度の月次売上高速報値は、景気の上昇トレンドが顕著であることになる。

確かに、引越サービスの利用状況は、世の中の活動の「温度」を測る物差しになるのはうなずける。新型コロナウイルス禍による経済活動の低迷は一段落した感がある。この大型連休では、コロナ前の水準には及ばないものの、交通機関の利用状況や観光地の収入は持ち直してきたようだ。着実に「移動」が増えているのだ。

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引っ越しについてはどうだろうか。大学の講義も対面方式を復活させる動きが出始めるなど、引っ越しを伴う住居の移動ニーズは回復してきている。とはいえ、社会における「前提」は大きく変わった。その代表例が、企業の就労スタイルだ。

コロナ禍を契機としたテレワークの定着ぶりは、もはや説明するまでもないだろう。さらに転勤の削減、ついには本社オフィスの大幅な縮小に踏み切る企業も珍しくなくなっている。その意味では、引越企業の業績は社会のあらゆる動きを反映した存在なのかもしれない。

コロナ禍から「新しい生活様式」の時代への過渡期を迎えた我々の「道標」というわけだ。あながち、件の経済学者の説は的外れではないのかもしれない。(編集部・清水直樹)