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NXとソフトバンクの遺伝子が、運送業界を変える

2022年7月21日 (木)

話題「日本通運とソフトバンクがタッグを組む!?」──。2020年10月、MeeTruck(ミートラック)株式会社設立が発表された時、驚いた方も少なくないことと思う。

(イメージ)

物流業界の雄であるNIPPON EXPRESSホールディングス株式会社(以下、NXHD)と、通信業界の雄であるソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)の合弁会社であるMeeTruckは、同年4月の設立から半年後の10月にTMS(Transportaion Management System /輸配送管理システム)をリリース、2022年3月にはマッチングサービス(求荷求車情報サービス)の提供を開始した。

特に興味深いのは、マッチングサービスである。

「2023年2月まで、マッチングサービス + 業務支援サービス(TMS)をセットで無料提供する」という思い切った営業施策にも驚かされたが、「スマートフォンに特化しPC専用の画面を用意しない」という振り切ったシステム設計思想には、賛否両論が巻き起こっているのではないだろうか。

物流の2024年問題、軽油をはじめとした各種費用の高騰など、危機的状態にある運送業界。結論から言えば、MeeTruckは苦境に立つ運送業界を救う救世主の一社となりうる存在だと、筆者は期待している。

「日本の物流品質は高い」、だが…

「日本の物流品質は高い。それは、現場を支える多くの方々の努力と改善の積み重ねの結果です」──。MeeTruck代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の横井直樹氏は断言する。

▲MeeTruck代表取締役社長兼CEOの横井直樹氏(撮影場所:WeWork東京ポートシティ竹芝)

横井社長は、日本有数の大企業となったソフトバンクで活躍する社員の一人であった。ご承知のとおり、ソフトバンクは日本を代表するIT企業の一つであり、当然横井社長もITの第一人者である。

実は、MeeTruckが設立されたのは、新型コロナウイルス感染拡大による初の緊急事態宣言が発表された5日前であった。世間ではテレワークをしない企業を悪者扱いするような風潮もあったが、運送業界の現場からは「事務所業務だけでもテレワークを行いたくても、一部の例外を除いて、運送会社では実態としてほぼ不可能」といった、怒りにも近い嘆きの声が圧倒的であったと思う。

MeeTruckが、まずはTMSをリリースしたのは、テレワークをしたくともできない運送会社に対し、テレワークができる環境づくりを応援しつつ、かつ運送管理業務の効率化を応援したいという思いがあってのことだったのだ。

そして、マッチングサービスへ

現在議論されている物流危機における課題の一つが、積載率である。1990年代には50%を超えていた積載率は、現在では40%を下回っている。積載率の低下は、運送会社にとっては収益の低下、荷主にとっては運賃の高騰につながる諸悪の根源となる。

積載率を上げるためには、貨物を探せば良い。特に帰り荷の有無は、積載率を大きく左右する。だが、中小企業の巨大な集合体である運送業界では、そもそも営業人材を抱える会社も少なく、適当な貨物(輸送案件)を探す能力を欠く運送会社が圧倒的に多い。

その救いとなるのが、マッチングサービスである。だが一方で、LOGISTICS TODAYによるアンケート調査では、実際にマッチングサービスを利用したことがある会社は6割弱に留まる。

▲LOGISTCS TODAY独自調査の設問「求荷求車・マッチングサービスを利用したことがあるか」に対する回答(調査実施期間:2021年10月12日〜25日)

MeeTruckでは、事業の開始当初からマッチングサービスの提供を計画しており、他社のサービスを利用しようとしたものの、現在は利用していないという多くの運送会社にヒアリングを行ったところでは、

「ほんとはいろいろ使いたかったんだけど、面倒くさかった」
「使いこなせなかった」

という声がほとんどだったと言う。コロナ禍という逆風の中、自らも現場ヒアリングを続けた横井社長の胸中に浮かんだのは、「ITリテラシーを高めていくのがまさにこれから、という運送会社の皆さんにも、『これなら使いやすくて便利だ』と感じていただけるようなサービスの提供方法を考えなくては」という想いだった。

あくまで筆者の私見ではあるが、マッチングサービスに限らず、世にある物流関係ソリューションの中には、ITリテラシーの低い人に対する配慮が足りないものも、残念ながら存在する。言ってみれば、使い手に対して、ITリテラシーを身に付けることを、ソリューションが要求するわけである。当然、脱落者は出てくる。

多くのソリューションベンダーでは、この課題に対し、ユーザビリティー、ユニバーサルデザインなどで対応しようとする。「PCに慣れていない人でも、直感的で使いやすい画面や操作性を実現しましょう」という考え方である。

だが、MeeTruckは根本的に違った。

「『PCを使いたくない』という人々に対し、どういう価値を提供できるかを検討すべきだと考えました。そこで注目したのがスマートフォンです。ITという概念が生まれて以降、初めて日本人全員が使えるツールが、スマートフォンではないかと考えたのです」(横井社長)

だから、MeeTruckでは、TMSに続くマッチングサービスにおいて、スマートフォンだけでサービスを提供するという方針を選択したのだ。

顧客に寄り添う、マッチングサービスの正常進化

一方で、マッチングサービスを利用する上では、さまざまな不安もつきまとう。LOGISTICS TODAYのアンケート調査では、5割強が「取引相手との信頼性構築に不安がある」と答えている。

▲LOGISTCS TODAY独自調査の設問「既存の求荷求車マッチングサービスについての課題」に対する回答(調査実施期間:2021年10月12日〜25日)

MeeTruckのマッチングサービスには、サービス開始当初から、運送業者賠償責任保険(支払限度額3000万円)が追加料金無しで自動付帯されている。これは、サービスの利用にあたり、万一の貨物事故の発生に不安を抱く現場からの声に応えるために実現したものだ。

また、MeeTruckの担当者が実際に訪問した、ある元請け側の運送会社では、実配送を担った運送会社に対し、配送がきちんと終わっているかどうかを一件一件電話で確認していたという。先日リリースされた『作業報告』機能も、こういった顧客の現場の課題、不安を解決するために開発、実装された機能である。

驚くべきは、この『作業報告』機能が、わずか2か月で開発、サービスリリースされたことである。かつてシステム開発会社で働いていた筆者の感覚だと、2か月というスピード感は、尋常ではない。

▲アプリを使った運送会社での作業報告のイメージ

運送改善の羅針盤を担うNXHDの血脈と、それを実現するソフトバンクのテクノロジー

「真の物流改善は、物流業界の人には成し遂げられないのか?」──筆者は仕事柄、さまざまな物流企業、物流ITベンチャーなどの皆さまからお話を伺うが、しばしば議論になるのが、これだ。

「真の物流改善は、物流業界の人には成し遂げられない!!」と断言する人々の主張はシンプルである。現場の慣習や古い固定観念に囚われた人(=物流業界の人)からは、旧来の課題を打破できるような新たな発想も、行動力も生まれない、という主張である。

だが一方で、「現場を知らない部外者に何ができる??」という考え方もある。実際、理想を追求するあまり、現場感覚と乖離しすぎたコンセプトや機能に舵を切ってしまった物流ITベンチャーも見かける。まさに才能と熱意の無駄遣いである。とても悲しく、とても残念だ。

MeeTruckは違う。NXHDが羅針盤として物流改善の正しい方向性を示し、それをソフトバンクのテクノロジーが実現するという役割分担ができているからだ。

一例を挙げよう。マッチングサービスの開発段階において、顧客から「スマホでは、求荷求車案件の一覧性が悪いのでは?」という声が少なからず挙がったそうだ。対策はいくつか考えられる。「文字フォントサイズを小さくする」「表示する情報を抜粋する」「検索機能を充実させる」などである。

MeeTruckの発想は違った。「そもそも、『一覧から探す』『検索する』といった作業を軽減させるのが、これからマッチングサービスのあるべき姿なのではないか?」と考え、案件のプッシュ通知機能などを充実させたのだ。


▲スマホならではのマッチングサービスにおける機能性の充実を図る

これまでマッチングサービスを使ってこなかった運送会社が、新たにMeeTruckのサービスを使い始めれば、その分、新たな業務時間が必要となる。「一覧性を求める」顧客の気持ち、すなわちマッチングする貨物や空車探しに時間をかけようという顧客の気持ちは、実は運送会社自身の首を絞める結果になりかねない。

NXHD、ソフトバンクそれぞれの血を引くスタッフたちが、顧客にとって最適な方法を議論し、知恵を絞り続ける。これこそが、真の物流改善を導く化学反応ではないかと期待してしまう。

「テクノロジーで不安を解消したい」、MeeTruckが拓く運送の未来

2000年代初頭、ソフトバンクはADSLサービス「Yahoo! BB」(ヤフーBB)を立ち上げ、利用料金無料キャンペーンを実施するなど、NTTを始めとする他事業者と壮絶な覇権争いを展開した。当時、加熱する販売合戦に対しては批判の声もあったが、結果として日本国内のブロードバンド普及に、ソフトバンクが多大な貢献をしたことは事実である。

MeeTruckのマッチングサービスは、今年3月にリリースしたばかりにも関わらず、本稿執筆時点で、既に登録事業所数が500を超えたという。これは、「NXHDとソフトバンクが何をするのか!?」という期待に加え、2023年2月まで利用料金を無料にするという思い切った販売施策が、多くの運送会社におけるマッチングサービスに対する利用意欲を高めた結果であろう。

「テクノロジーで不安を解消したい」──横井社長は語るが、同様のことを主張する物流IT企業も少なくない。しかし、運送業界の抱えるITリテラシーの低さという課題に対し、これだけ思い切った解決策を提供したのは、MeeTruckが初めてではないか。

MeeTruckに興味を持った方は、ぜひマッチングサービスに登録してほしい(しつこいようだが、なにせ今は無料である)。そして、MeeTruckが、運送業界にどのような化学反応を引き起こしていくのか、ともに体験していこう。

MeeTruckサービス情報


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