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ヤマトなど、那覇-台北の航空貨物復活へ検証運航

2022年8月26日 (金)

▲中華航空機に積み込まれる貨物(那覇空港で)=ヤマト運輸提供

ロジスティクスヤマト運輸(東京都中央区)は沖縄県などと協力し、新型コロナウイルス禍のために現在運休している那覇・台北間の定期航空貨物輸送の復活に取り組んでいる。25日夜には、中華航空(チャイナエアライン)の旅客機を使った貨物専用便をヤマト主導で運航し、沖縄・石川県産品を台湾に運んだ。スピーディーに運べたかどうかを検証し、定期輸送再開を目指す。

これは、沖縄県が提唱している「沖縄国際物流ハブ」構想の一環だ。台湾・アジアに近い地理的優位性を生かし、那覇空港を国際物流拠点化し、本土と台湾、その先のアジア各国との物流拡大を目指している。これまで、旅客機の貨物スペースや貨物専用機を使った定期便が運航され、ヤマトも賛同し、2011年以降、国際宅配便の沖縄経由での輸出や関係施設の建設などを行ってきた。

ところが、コロナ禍で那覇空港の国際線は2020年4月から全便運休となった。ヤマトの沖縄経由の国際宅急便も休止を余儀なくされた。沖縄産品の輸出は、台北への直行便なら飛行時間が1時間20分で済んだものが、羽田経由となり8時間以上かかるようになった。生鮮品は鮮度が落ちる懸念がある。県内の顧客から「直行便を復活してほしい」というニーズが高まっていた。

ヤマトは定期貨物輸送復活に向けた検証フライトを、ことし3月に一度行い、沖縄産の青果などを台北に運んだ。今回も旅客機を貨物専用便として用い、貨物搭載に関わる作業の時間短縮などを試した。また、今回新たに本土発貨物として石川県産の魚類や青果も積んだ。那覇空港の新たな物流モデルとして、本土の地方空港(今回は石川県の小松空港)と台北を中継する「ハブ機能」を検証するためで、今回が初トライアルとなった。

▲台北行き便に積まれた石川県産の魚

25日夕、収穫したばかりの石川産品を積んだ小松発の便が那覇空港に到着。すぐに貨物を移し、中華航空・エアバス330-300型機が20時ごろ那覇空港を飛び立った。ヤマトの梅津克彦執行役員や県、中華航空の関係者が見送った。台北の桃園空港には1時間20分ほどで到着。さらに別の6便に貨物を移し、それぞれ香港やタイなどアジア6か国に向かった。

▲沖縄での台湾行き荷物の集荷作業

沖縄県はウィズコロナの環境下でも、国内24都市とアジア14都市を那覇で結束する航空物流網の構築を目指している。ヤマトもそれを踏まえ、3回目の検証をことし10月に行い、その際は食品に加えて工業製品を運ぶ計画だ。また、台北発日本行きの貨物も輸送する。さらに検証を数回重ね、定期路線再開につなげたい考えだ。