行政・団体国土交通省は、トラックやバスの衝突事故を減らすため、一般に「自動ブレーキ」と呼ばれる歩行者検知機能付き衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の搭載車両に対する税の軽減措置を導入する方針を固めた。衝突防止効果が認められるが、先端機器のためまだ価格が高く、税軽減により運送会社などへの普及を進める。2023年度税制改正への同省の要望に盛り込み、実現を目指す。

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衝突防止装置を巡っては、現在、側方衝突警報装置(BSIS)を搭載したトラックに対して、税の特例措置がある。車両総重量8トン超のトラックは、自動車重量税(国税)が2024年4月30日まで25%軽減され、地方税の自動車税(環境性能割)も23年3月31日まで算定の際に車両取得価格から175万円が控除される。
同省の発表によると、国交省は23年度税制改正で、まず、現行措置の期限を揃えたい考えだ。自動車税(環境性能割)の軽減措置を重量税と同じ24年4月30日まで13か月間延長する。BSIS搭載が24年5月から義務化されるのに合わせた延長措置だ。
そして追加措置として、税軽減の対象装置に「自動ブレーキ」AEBSを加える。軽減額はBSISと同じ「25%軽減」「175万円控除」。期間は自動車重量税が23年5月1日から26年4月30日まで、自動車税(環境性能割)が23年4月1日から25年3月31日までとしたい考えだ。
また、AEBSについては、3.5トン超8トン以下のトラックとバスにも税軽減措置を適用する。近年整備された自動ブレーキの国際基準に合わせて対象に加える方針だ。
さらに、8トン超のトラックがBSISとAEBSをダブルで装着した場合は、軽減額も倍にし、自動車重量税を50%軽減し、自動車税(環境性能割)の控除額は350万円としたい考えだ。
16年の軽井沢スキーバス事故などを教訓に、国は大型車両の事故防止や被害軽減に力を入れている。同省の試算では、BSISには死亡事故を10.8%、AEBSには34.8%低減する効果が認められたという。先端安全技術の効果は高いが、装置の価格が高く、事業者負担が大きいことが課題で、税の特例措置で普及を図る。税の特例措置をAEBSにも広げるのは、国際的な潮流に乗って同装置の搭載義務化を視野に入れた措置と言える。
税制改正要望は8月31日に財務、総務両省に提出する。