中国内需物流の規模が構造を変えた理由と向き合う

国際2025年秋に実施した、本誌・赤澤裕介編集長と巡る中国上海視察。その現地視察と日中関係者との対話を通じて、中国物流の変化は「視察」だけでは捉えきれない段階に入っていることを、現地で体感した。こうした手応えを踏まえ、26年版の中国視察では、展示会・現場視察に加え、日中物流関係者による対話の場を中核の1つに据えたプログラムとして再設計した。

上海に加え、中国内陸部・重慶を訪問することで、沿海部とは異なる物流の成長モデルや役割を多角的に捉える。視察の目的や関心に応じて選択できる複数コースを設け、中国物流を「知る」から「自分ごととして考える」視察を参加者とともに目指したい。

■日中物流対話──視察の“軸”となる議論の場
26年視察では、日中物流対話を企画の中核の1つとして位置付けている。前回は交流会と併せた短時間のミニセッションとして実施したが、今回は半日をかけてテーマを設定し、より深く議論する構成とした。中国企業、日本企業それぞれの立場から、物流の考え方、課題認識、意思決定の違いを率直に共有する。情報収集にとどまらず、相互理解と関係づくりにつながる対話の場を、視察成果の一つとして明確に位置付けている。

■上海CeMAT ASIA──アジア最大の物流展示会を「体感」する
上海で開催される「CeMAT ASIA」は、アジア最大級の物流展示会であり、世界最先端の物流技術と運用思想が集約される場だ。自動倉庫、AGV（無人搬送車）・AMR（自律走行搬送ロボット）、物流ロボティクス、WMS（倉庫管理システム）など、最新の物流ソリューションを実際に目で見て、空気感ごと体感することができる。本視察では、展示をただ眺めるのではなく、参加者とともに「なぜ中国でこの技術が広がるのか」「日本物流と何が異なるのか」といった視点で展示を読み解く。アジア物流の最前線を、現場感覚として持ち帰ることを目的とする。

■上海・重慶の企業視察──ほかでは見られない物流現場に触れる
展示会で得た知識を、現実の運用として理解するため、上海および重慶での企業視察を組み込む。自動化が進む物流拠点や、EC・小売を支える物流現場など、中国物流の実装が進む現場を中心に、複数の視点から物流のあり方を確認する予定だ。特に重慶では、中国内陸部における物流集積や成長ポテンシャルを体感できる。上海とは異なる物流の役割や都市特性を比較することで、中国物流をより立体的に捉えることができる。

【視察を通じて得られるもの】
本視察で得られるのは、単なる展示会視察や海外見学ではなく、中国物流を「情報」ではなく「実感」として理解する体験だ。CeMAT ASIAでの最新動向、現地物流の運用現場、そして日中物流関係者との対話を通じて、中国市場のスピード感や発想、日本物流との違いと可能性を自分の言葉で語れる視点が身につく。その気づきは、今後の事業戦略や物流改革を考える上で、確かなヒントとなるはずである。

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