調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は24日、ことし1月から11月までの「労働者派遣業」の倒産件数は82件となり、12年ぶりに80件を超えたとするレポートを公表した。年間では16年ぶりの90件台が視野に入っている。
同社によると、11月までの倒産件数は前年比41.3%で、すでに前年の件数を上回った。80件を超えるのは2013年同期以来、12年ぶりで、09年の年間95件以来、16年ぶりに年間で90件台に乗せる可能性がある。
負債総額は76億5000万円(同28.1%増)で、2年ぶりに前年同期を上回った。負債1億円以上5億円未満が15件、5億円以上10億円未満が3件と中堅規模でも倒産が増えている。
ことしは特に上半期で労働者派遣業の倒産が目立ち、前年同月を上回るペースが続いていたが、7月以降は5か月連続で前年同月を下回っている。しかし、大手と中小規模の間での待遇格差が広がっており、派遣労働者が集まらずに人手不足に陥った中小事業者の倒産が相次いでいる。
倒産の原因では、「人手不足」に起因する倒産は10件で前年の2.5倍に増えた。形態別では、破産が79件で大半を占めている。
同社は「コロナ禍を経て人手不足が深刻となり、労働者派遣業でも派遣スタッフの確保が難しくなっている。また、賃上げの広がりで、派遣スタッフを確保するため、時給引き上げなども求められている。資金余力が乏しい労働者派遣業は厳しさを増しており、今後さらに淘汰が加速する可能性が高い」などとしている。
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