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SGが日立物流株を一部売却、来月のTOB待たずに

2022年10月13日 (木)

M&A佐川急便(京都市南区)を傘下に持つSGホールディングス(SGHD)は13日、保有する日立物流株の一部を12日に市場外取引で売却し、40億円の売却益を得たと発表した。日立物流株を巡っては、米投資ファンドKKRによる公開買い付け(TOB)が11月上旬に迫っているが、SGHDはそのTOBを含めて日立物流株に関する不透明要素を考慮し、リスク分散のためこの段階で一部売却したと説明している。

SGHDは保有する日立物流株を2020年9月以降、3回にわたって売却し、発行済み株式総数の7.4%(自己株式を除く)が残っていた。発表によると、12日に市場外取引で1.3%分(110万株)を売却した。残る保有株は6.1%。9月6日にKKRによるTOBに応募する可能性があると表明していたが、同時に「応募しない場合でも市場取引その他の方法により売却する可能性がある」としており、その意味では今回の一部売却は既定路線と言える。

KKRによるTOBはことし4月に表明され、当初は9月下旬に始まる予定だったが、KKR側は9月29日にロシア政府への対応を理由として11月上旬までの延期を発表した。SGHDは今回の売却の理由について、この延期などによる株価変動が自社の財政や経営に影響を与えることも想定されるとし、リスク低減を目的に一部売却したと説明している。

(イメージ)

SGHDは売却価格を公表していないが、同株式の12日の市場価格は1株8590〜8710円だったことから、KKRが4月に提示したプレミアム付き公開買い付け価格(8913円)を下回った可能性が高い。公開買い付け価格はKKRと日立物流、日立製作所の3社が合意したもので、日立物流広報、KKRの広報担当者ともに「合意に変更はない」と述べている。

あと1か月待てばプレミアム付き価格で売却できるが、SGHDはそれを待たずに一部売却に踏み切った。先のKKR側によるTOB延期が特段の事前アナウンスもなく9月の末日近くになって突然表明されたことや、ロシア情勢などの不透明さを懸念した可能性はある。SGHD広報はTOB価格やTOB自体について、「今後どのようになるか見通しが立たない。少しでも分散売却してリスクを減らすべきとの判断に至った」と説明している。

売却益40億円は2023年3月期第3四半期決算に特別利益として計上する。SGHDは7月1日に同株式2.4%を市場外で売却した際、売却益80億円は配当原資から除外すると説明していたが、今回は配当原資に含めるかどうかについて「検討中」(広報)としている。

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