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KKRが日立物流株TOBを1か月延期、対ロ手続きで

2022年9月29日 (木)

M&A米大手ファンドKKRは29日、9月下旬に予定していた日立物流株の公開買い付け(TOB)の開始を11月上旬まで1か月余り延期した。ロシアでの投資活動に関する大統領令が9月8日に施行され、その対応に時間を要しているためといい、買収計画自体に大きな変更はないとしている。日本の物流業界が注目する日立製作所の日立物流売却問題は、激動するロシア情勢の余波を受け、最終着地まで足踏みを強いられた格好だ。

TOBの延期は、KKR傘下の特定目的会社HTSKと日立物流が発表した。

日立製作所からKKRへの日立物流の売却は、3社の間で本年4月に合意された。その際の計画では、KKRは日立物流株のTOBを本年9月下旬をめどに開始し、日立製作所はTOBには応じずに日立物流の自社株買いを通じてKKR側に保有株式を売却することになっている。最終的にHTSKが間に入る形でKKRが90%、日立製作所が10%の割合で日立物流に出資する形態となる。

(イメージ)

29日の発表によると、4月の合意の後、KKR側は日立物流が事業を展開する日本と海外で、それぞれの国の法令に基づく事前届け出などの手続きや関係対応を進めてきた。これまでに日本や中国、米国などで手続きを完了し、ドイツやイギリスなどで手続き不要を確認した。ただ、ロシアの対内直接投資に関する新しい大統領令が9月8日に施行され、事前届け出が必要となったことで計画の修正を強いられた。現在、ロシアへの手続きに向け準備を進めているという。

日立物流によると、TOB延期は29日になってKKR側から連絡を受けたという。今後の詳細なスケジュールについては「決定次第速やかに開示する」としている。

日立製作所、KKRと日立物流売却で正式合意