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シーネットバーチャル展示会への本誌編集長登壇を前に

WMSはここで安住せず、WESへの拡張が必要|提言

2022年10月28日 (金)
LOGISTICS TODAYがニュース記事の深層に迫りながら解説・提言する「Editor’s Eye」(エディターズ・アイ)。今回は、「シーネット、11月に初のオンライン展示会」(10月17日掲載)を取り上げました。気になるニュースや話題などについて、編集部独自の「視点」をお届けします。

サービス・商品サプライチェーンの円滑な運用に欠かせないのが、物流倉庫におけるオペレーションの最適化だ。その実現に大きく貢献してきたのがWMS(倉庫管理システム)であることは、もはや疑う余地もないだろう。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の代表格としてこれまで君臨してきたのもそのためだ。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配需要の高まりも背景に、急加速しているEC(電子商取引)サービスの普及。それは物流倉庫における取扱量や種類の急増をもたらすとともに、現場の人手不足も露呈した。

こうした問題を解決するための取り組みとして注目されているのが、物流現場向けロボットやマテリアルハンドリングなどの先進機器・システムだ。多様な業界の事業者が参入し、それぞれ得意領域を生かした個性的な機能を搭載した先進的な製品を次々と提供している。

WMSはこうした機器・システムと共存する形で、それ自体も機能性の向上に磨きをかけてきた。倉庫運営を担う基本的なシステムとしてその存在も広く知られており、先進システムの最右翼としての立場を維持してきた。

しかし、ここで冷静に考えてほしいことがある。こうしたロボットやシステムが「人間にできないことを担うことは決してない」ということを。むしろ、こうした先進機器・システムをコントロールする役割こそが、“倉庫管理システム(Warehouse Management System)”の本来の存在価値ではないか。現場の問題を総合的に解決するには、こうした先進機器・システムを複合的に組み合わせる(クロス)ことが欠かせない。いわば、物流の「DX」(デジタル・クロス)だ。

(イメージ)

WMSは倉庫現場で定位置を確保した結果、そこに安住しているのはないかとさえ感じてしまうのだ。そこでもう一段高いステージに飛躍する、つまり物流のプラットフォームとして再定義する必要があると考える。ここから生まれてくる概念が、倉庫を運用・管理するシステム、つまり多様な自動機器を連携して制御するシステムであるWES(倉庫運用管理システム)だ。

物流DXに係る取り組みのひとつとして認識されてきたWMSに、物流のプラットフォームという役割を与えることで、WESという概念に昇華させていく。物流は、社会に不可欠なインフラとしての認識が着実に定着しつつある一方で、さらなる品質向上を求められるシビアな業界だ。

ロジザードとともにWMS市場の拡大をけん引してきたシーネット。こうした背景も踏まえて「現場における全体最適」の観点を常に念頭に置いたシステム開発を求めたい。こうした事業者には、WESを含めたより広い概念のシステム開発力があると確信しているからだ。(編集部・清水直樹)

シーネット(千葉市美浜区)は11月1日、オンラインイベント「シーネットバーチャル展示会」を開催する。WMSのあり方について考える特別企画だ。

パネル討論「WMS×つなぐ これからの倉庫管理はシステム連携で差をつける」では、LOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長もモデレーターとして登壇。WMSをハブとしたシステム構築の重要性を提唱するなど、物流DXを早期に実現する方策について議論を深める。

LOGISTICS TODAYは今回の登壇を機として、物流倉庫現場の効率化に貢献してきたWMSの将来像について提言する。

「シーネットバーチャル展示会」の概要
日時:2022年11月1日(火)9時~17時30分
※パネル討論「WMS×つなぐ これからの倉庫管理はシステム連携で差をつける」は、16時10分〜17時15分
会場:オンライン(EventHub)
参加費:無料(事前申込制)
詳細・申込:https://www.cross-docking.com/news/vr-expo2022/