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ESR、大阪にグループ初のデータセンター建設

2022年11月9日 (水)

▲「ESRコスモスクエアOS1」完成イメージ(出所:ESR)

拠点・施設ESRは8日、大阪市住之江区にグループ初となるデータセンター「ESRコスモスクエアOS1」(OS1)を建設すると発表した。最大98メガワットのIT電力容量を備えた3棟でつくるキャンバス型で、敷地面積は8146平方メートル。ことし10月1日に着工した1期目はIT電力容量19.2メガワットを備え、2024年5月末に完成を見込む。2、3期目も同じ敷地内で順次開発する予定。

立地は、プロバイダーやインターネットデータセンター、国家間の通信を交換するための相互接続ポイント「インターネットエクスチェンジ」がある大阪市中心部から10キロ圏内。多くのクラウドネットワークへの接続拠点や通信事業者、大手IT企業が集積しており、データセンター需要が旺盛なエリアだ。OS1は顧客ニーズに応じてデータホールと呼ばれる専用区画から、1棟または複数棟での提供が可能としている。

▲ESRコスモスクエア3棟完成イメージ

22年版総務省白書「データセンター市場の動向」などによると、データセンターサービスの市場規模は2021年に1兆7431億円。クラウドサービスの広がりなどを背景に、さらに伸長が見込まれ、25年には2兆7987億円に達すると予測されている。

同社は、OS1についてデータセンターの機密性や情報セキュリティーの観点から、所在地や延床面積、総投資額、入居企業名といった詳細な情報は非公開にするとしている。

物流施設開発事業者が熱い視線を送るデータセンタービジネス、隆盛を極める物流施設プロジェクトの「未来の姿」を想像させる

インターネット用サーバーや各種データ通信などの関連機器を設置・運用するための専用施設であるデータセンター。その開発に次々と名乗りを上げているのが、物流施設を手掛ける不動産事業者だ。データセンターと物流施設の開発ノウハウには共通点も多い。物流施設の開発が急ピッチで進むなかで、「次」の収益柱を確保していきたい不動産事業者の思惑も垣間見える。

そもそも、両者に共通するノウハウとは何だろう。広大な開発適地の調達力や重量物の設置に対応した建物の設計・建築技術が求められる点では、かなり親和性が高い領域と言えるだろう。

しかし、物流施設を手掛ける事業者がデータセンター開発への参入に触手を伸ばす狙いは、ビジネスの親和性だけなのだろうか――。そんな疑問が浮かぶ。なぜならば、ここ数年で数えきれないほどの物流施設開発プロジェクトが公表され、2023年以降に相次いで稼働する現実があるからだ。

EC(電子商取引)サービスの普及による宅配需要の高まりは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり需要」も背景に急加速している。量と種類の両面で増加する一方で、ある荷物を処理できるだけのスペースを確保するために、こうした物流施設の開発を社会も推奨してきた感がある。

とはいえ、人口減少時代を迎えて物流施設の需要が無限に続くことはありえない。さらに足元では、先進的物流施設の開発が加速する一方で、旧態依然とした古い倉庫の空室率が下がらない現象も顕在化。優勝劣敗が鮮明になるなかで、こうした倉庫をデータセンターに転用するケースも目立つ。

物流施設の開発事業者にとって、データセンターは「ポスト物流施設」を意識した事業領域であるとともに、現状の保有施設を転用できる新規ビジネス候補なのである。かつて脚光を浴びていた先進的物流施設がデータセンターとして新たな一歩を踏み出すシーンを目にする、そんなシーンが珍しくなくなる日も遠からずやってくるのではないか。データセンター開発を取り巻く動向からは、そんな予感すら抱いてしまうのだ。(編集部・清水直樹)

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