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センコー、アパレル廃棄ゼロへPF運営の新会社

2022年11月14日 (月)

アパレルセンコーグループホールディングス(GHD)は14日、傘下のセンコーが物流センターで預かった商品の廃棄ゼロを目指し、再生加工や再販売、リサイクルなどの機能を備えたプラットフォーム(PF)運営に向けた新会社、ゼロブランズ(東京都江東区)を設立したと発表した。15日に公式サイトをオープンするなど、アパレル商品在庫の廃棄ゼロの取り組みを支援する。発表によると、こうしたPF運営の取り組みは業界で初めて。

センコーは、百貨店やショッピングモール、EC(電子商取引)で商品販売を展開するファッション企業と取引している。その中で余剰在庫品となり、やむを得ずに廃棄対象となるものがあることから、物流企業として顧客の課題解決を検討。ことし8月に新会社を設立した。

取り組みでは、「再販商品を新たな価値あるモノに変える」という主旨に賛同した企業と協働してPFを構築。複数のアパレル企業の商品について、返品から再販までの物流の共同化や物流費削減に取り組むとともに、多くの在庫販売チャネルと連携して販売支援やリサイクル会社とのネットワーク構築を通じて、廃棄される商品をなくす「ファッションサステナブル」の好循環を形成していく。

▲11月15日に公開されるゼロブランズ公式サイト(出所:センコーGHD)

公式サイトでは、一連の取り組み事例や最新情報サイト、社内向けEC販売サイトを公開するほか、2023年9月には一般向けEC販売サイトを立ち上げる予定。生地への再製品化や固形燃料への再生によるリサイクル事業なども推進する。

新会社の社名にある「ゼロ」は、廃棄ゼロの実現や「環境」という意味を持つサーキュラーの輪を表し、ブランズは「信頼ある、価値ある商品・企業が集まる」との思いを込めた。

センコーがスタートするアパレル商品在庫の廃棄ゼロ支援プラットフォーム、持続可能な物流サービスの実現に向けた大きな一歩となるか

サプライチェーンの過程で生まれる、いわゆる「売れない」商品への対応。それは物流事業者にとって解決すべきやっかいな問題だった。最も現実的な対応方法は、メーカーに引き取ってもらえる商品を除いて廃棄処分とすることだ。しかし、まだ一定の価値がある商品の廃棄は資源の有効活用や環境負荷低減の観点から問題点も少なくない。

それならば発想を転換して、こうした廃棄商品に価値を与えることができれば、新たなビジネスの創出につなげられるのではないか―。それが、今回のセンコーの取り組みだ。

ECサービスの急速な普及で物流現場で取り扱う商品の数や種類が急増するなかで、倉庫スペースの有効活用が喫緊の課題になっている。一方で、商品の流通が活発になればなるほど、倉庫に蓄積される在庫量も増加。少子高齢化が進むなかで取扱量の増加に従業員の確保は当然ながら追いつかない。結果として、従業員の業務負担がどんどん重くなる事態に直面しているのだ。

とはいえ、こうした売れない商品による余剰在庫は、考え方を変えれば価値を生み出す潜在力があるかもしれない。特にアパレルの場合は、時代のトレンドが色濃く市場動向に反映される一方で、生活必需品という商品の性格も考慮すれば、再販売の可能性を模索する余地は決して小さくないだろう。

センコーがスタートするファッション・サステナブル・プラットフォームは、こうした余剰在庫商品の廃棄ゼロを目指す取り組みとして、在庫の処理に頭を抱える事業者にヒントを提供する契機にもなりそうだ。

ECサイト運営を軸とした余剰在庫の再販ビジネスは、SDGsの精神を背景とした持続可能な社会の実現に貢献する取り組みとして意義があるだけではない。物流業界における構造的な問題である余剰在庫への対応と倉庫運営の効率化・最適化の側面からも、持続可能な物流サービスの実現に寄与する第一歩となるのは間違いないだろう。(編集部・清水直樹)

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LOGISTICS TODAY編集部
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