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トラ系ユーチューバー、業界イメージ向上へ存在感

2022年11月21日 (月)

イベント滋賀県で19、20の両日に開催された「みんなのトラックフェスタ」には、物流業界で活躍するトラックYouTuber(ユーチューバー)らが多数集結し存在感を放った。日頃直接機会のないファンと写真撮影などを通じて交流を深め、トラック業界やドライバーの仕事について親しんでもらうきっかけづくりに奔走した。

長距離ドライバーで車内での調理・飲食動画を配信している「もこちゃん」が会場に現れると、記念撮影をしてもらおうとファンが長い列を作った。反響の大きさに当の本人は「なかなか視聴者の方に会う機会はないので驚いている」と話した。

▲ユーチューバーの「もこちゃん」(右)

元ドライバーでユーチューバーの「ちゃんけブログ」さんは、自身のオリジナルステッカーをファンらに配布し、運送業界を身近に感じてもらう活動に注力した。

業界全体がドライバー職が人材確保に苦しむ中で、動画をきっかけに「20、30代の若い人に興味や関心を持ってもらい、応募や就職に発展することもある」とちゃんけブログさん。他にも動画のコラボ企画を通じて、新たなビジネスの拡大にもつながるメリットを強調した。

▲オリジナルステッカーを配布した「ちゃんけブログ」さん

このほか、現役トラックドライバーの「おじとら」さんや「かなちゃん」をはじめ、「西郷どん」や「みやたん」ら物流・運送業ユーチューバーの人気者たちも会場に姿を見せた。会場からのライブ中継やステージショーへの出演を行い、イベントの盛り上げや業界のイメージアップに一役買った。


▲記念撮影に応じる「みやたん」(右)  ▲「西郷どん」(中央)

20日はLOGISTICS TODAY編集部が確認しただけで、トラックや物流に関係するユーチューバー8人が来場していた。

トラックユーチューバーには、ドライバーへの「固定イメージ」を打破してほしい。それが若手流入に直結する近道だ

テレビや新聞が主流だった情報発信手段は、インターネットのニュースサイトからSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)へと急速に拡張している。なかでも、個人や組織が自主制作の動画コンテンツを動画共有サイトYouTube(ユーチューブ)で公開するユーチューバーは、その発信力が国内でも強く意識されるようになり、企業の広報活動など活躍の場を広げている。

そんなユーチューバーの存在感に、自らの抱える構造的な問題の解決策を見い出そうとしているのが、物流業界だ。とりわけ顕著な動きを見せているのが、長距離トラックドライバーを擁する運送事業者であろう。乗務中の行動や思いなどを率直に動画で公開する、いわゆる「トラックユーチューバー」がその象徴だ。

運送事業者は、なぜこうしたユーチューバーに期待をかけるのか。それは、ユーチューバーの発信する内容やスタイルにもっとも熱い視線を送るのが若い世代であり、トラックドライバーとして集めたい年齢層と見事に合致するからだ。

運送事業者にとって、ドライバー人材の確保は最大の悩みの種だ。働き方改革関連法により物流業界に生じる「物流の2024年問題」への対応を含めて、継続的に業務を担えるドライバーの数をそろえるために運送事業者は日々奔走しているのが実態だ。それには若い世代へドライバー業務の使命と魅力を地道に伝えることが欠かせない。

そこに登場したのが、トラックユーチューバーだ。若い世代は、既存のメディアよりもユーチューブなど新しい発信ツールを介した情報により強い興味を抱く傾向がある。同じ世代のユーチューバーが、いわゆる「共通言語」で発信する情報は、時代に相応しいトレンドを意識しているだけに共感力も段違いに高い。

しかし、ポイントは訴求方法の斬新さだけではない。トラックドライバーの固定観念を打破するイメージが伝わらなければ、効果も半減するというものだ。こうした情報発信における効果を最大化するポイントは、従来の常識をいかに打ち壊せるかが勝負でもあるからだ。

こうしたユーチューバーが、トラックドライバーに対する固定イメージを完膚(かんぷ)なきまでに破壊してほしい。なぜなら、若い世代のドライバー離れの最大の要因は、運送事業者やドライバーが作ってきたものであるに違いないからだ。(編集部・清水直樹)

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