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ドローン・レベル4飛行で義務化、日誌作成を手軽に

2022年12月5日 (月)

(イメージ)

サービス・商品ドローン(小型無人機)の有人地帯での目視外による「レベル4飛行」を解禁する改正航空法が5日に施行されたことを踏まえ、東洋テックは同日、法的に義務化された「飛行日誌の作成」について、スマートフォンで作成できるサービス「フライトレポートクラウド」の提供を始めた。国土交通省が定める飛行後の事務作業などを効率的に行え、負担軽減のワンストップツールとして訴求する。

発表によると、ドローンを飛行する人は、飛行日誌に分単位での飛行時間や20時間ごとに実施する整備記録など飛行や整備、改造などの情報を記載しなければいけない。これらの内容は多岐にわたり、煩雑さも伴うためドローン運用者の大きな負担が懸念される。

▲飛行日誌のサンプル(クリックで拡大、出所:東洋テック)

新サービスは、パソコンやスマートフォンからアクセスが可能。スマートフォンを現地に持参し、アプリに必要なデータを入力するだけで作成できる。その後、パソコンから飛行日誌を閲覧、出力することもできる。

飛行時間の管理にも有効で、機体と操縦者の飛行時間を把握でき、定められた時間を超過するとアラートで知らせる機能も備える。

飛行した場所は広域、詳細の両地図で管理。飛行の場所や時間、操縦者名、機体名をはじめ、エリアの長さなども自動計算して記載できる。利用料は月額1320円(税抜)から。

無人航空機による輸送インフラ実用化、荷主など「受益者」の積極的な関与がカギ

物流業界におけるドローン(無人航空機)の実用化に向けて、また一歩前進したと言えるのだろうか。5日の改正航空法施行に伴い、ドローンなど無人航空機の飛行日誌の作成が義務化された。飛行・整備・改造などの情報について、遅滞なく記載することを定めている。

こうした無人飛行機の運航管理をより最適化する動きが、無人航空機によるあらゆる社会活動の支援を促すものであることは間違いない。物流分野はその代表格であり、政府も少子高齢化の加速に伴う人手不足のさらなる深刻化や中山間地域における効率的な輸送体系の構築など、将来の輸送サービス確保に向けた諸問題を解決する方策の一つに位置付けている。

こうした政策から透けて見えるのは、「まずはインフラを構築することで民間事業者の参入を促し、産業として定着させる」思惑だ。ドローンを活用したビジネスを実用化させるには、まずは手段となる法制度を充実させることが先決ということだろう。

こうした発想には、全く異存はない。法的なバックボーンを含めたインフラの要素がしっかりと固まらない段階で、実用化後のビジネス展開を雄弁に語ることは、まさに砂上の楼閣になってしまいかねないからだ。そこに明確な実現可能性を示すことができなければ、ビジネスとして成功しないばかりか、たちまち失敗して社会に大きな損害を与えてしまう。その結果、無人航空機の実用化そのものが水泡に帰してしまう事態になりかねない。

気になるのは、こうした無人飛行機の実用化に向けた機運の醸成が、荷主サイドでどうも力強さに欠けることだ。全国各地でドローンの社会実装に向けた実証実験が展開されているが、主体はこうした無人航空機の機体開発企業や自治体であるケースが大半だ。一部で荷主が関与している場合があるものの、こうした無人飛行機を活用したビジネスへの積極的な姿勢が感じられない印象だ。

今はまだインフラ構築の段階であり、ビジネスとしての実用化に向けた機運を高めるには尚早という感覚なのだろうか。もしもこうした発想が大勢を占めているのであるならば、それには異論を唱えたい。

なぜなら、あくまで無人航空機の「受益者」の需要が明確に存在しない限りは、ビジネスとして成立することは難しいからだ。なかでも荷主は、無人航空機による輸送サービスの受益者であろう。こうした受益者の意見は、無人航空機による輸送インフラの構築を大きく後押しする的確な要素になると思うのだが。(編集部・清水直樹)

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