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鋼材流通加工の製品追跡可能に、LOZIと三菱商事

2022年12月19日 (月)

サービス・商品物流事業者など向けにバーコードとスマートフォンを利用したサプライチェーンの可視化ソリューションを手掛ける、LOZI(ロジ、名古屋市中区)は三菱商事と連携し、鋼材流通加工のトレーサビリティーを管理するサービス「Mill-Box Trace-Plus」の提供を2023年1月末から開始する。バーコード管理による個体識別で鉄鋼流通のサプライチェーンを可視化。川上から川下まで事業者間をまたいで製品を追跡できるようにし、効率的な製品管理を支援して作業負荷を軽減する。

発表によると、両社は21年10月から、三菱商事グループの建材加工販売会社とともに、複数のメーカーから入庫される製品ラベルをスマートフォンアプリで読み取り、原材料(母材)の情報に切断や加工といった情報を紐付けることで、加工流通過程を可視化する実証実験を繰り返してきた。

▲「Mill-Box Trace-Plus」アプリのUIイメージ(クリックで拡大、出所:LOZI)

ロジの物流の追跡などを目的にしたトレーサビリティーソリューション「SmartBarcode」(スマートバーコード)に、加工プロセスの記録や手書きで行ってきたレポート作成の自動化、母材の品質証明書(ミルシート)と鋼材現品の照合確認業務の簡素化などの機能を実装し、新サービスを開発した。

鉄鋼流通の現場はトレーサビリティーの担保が強く求められる一方、鋼材メーカー工場ごとに種別の異なる製品ラベルが鋼材に貼られており、問屋や加工工場での作業負荷の高さが課題となっている。

生産者の問題意識に「解」を示せるか、トレーサビリティーの「見える化」技術

製品の生産や流通についての情報を確認できる仕組みであるトレーサビリティー。この製品は「いつ」「どこで」「誰が」作ったのか。それを「見える化」することにより、原材料の調達から生産、消費までの製品の流れを追跡できるようにする取り組みだ。

こうした概念は、製品の適正で効率の高い生産・供給活動の実現に貢献するとともに、サプライチェーンの最適化にも直結するものであるとの認識を社会に広げる好機になるだろう。

LOZIが三菱商事と提携して取り組む鋼材流通の加工管理プラットフォームも、こうした文脈で読み解けば、その意義や方向性を理解することができる。

鋼材流通の領域で顕著だった製品の現物管理における作業負荷の軽減を図るため、LOZIの得意とする「サプライチェーンをつなぐ製品パスポート」をコンセプトとした、バーコードによる情報管理システムを活用。その実証を重ねた上で、新サービスの提供に踏み切った。

(イメージ)

こうしたサプライチェーンの円滑化・最適化に焦点を当てたDX(デジタルトランスフォーメーション)は、これまで構造的な問題と位置付けられてきた現場における改善点をクリアにする取り組みであるところに意義がある。

そもそもサプライチェーンという発想すら現場で認識されていなかった段階では、原材料調達から生産、流通といった各機能の情報を連携する発想は、実質的にはほとんど存在していなかった。

ビジネス上の契約での関係性はあるものの、あくまでそれは「点」であり、製品の供給における「連鎖」の形成による「面」は完成されていなかった。それゆえに、各段階で業務の最適化が進んだとしても、それはあくまで部分最適にとどまるものであり、サプライチェーン全体の最適化を実現する取り組みではなかった。

サプライチェーンの最適化が叫ばれる理由とは何か。それは輸送や保管をはじめとする物流機能の持続的な成長への“疑念”が生まれてきたからだ。社会のインフラとして欠かせない機能として認識される一方で、その構造的な問題もクローズアップされるようになった。

現場で取り扱う貨物の量・種類の増加に対応できる人員の慢性的な不足、それを補う先進技術の導入の遅れ。それはもはや看過できない水準になっている。生産者の立場からすれば、決して認めるわけにはいかない事態であることは明白だろう。

LOZIと三菱商事が提示する、こうした看過できない問題への一つの「解」。鋼材領域からの水平展開を含めて、今後の新たな展開に期待したい。(編集部・清水直樹)

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LOGISTICS TODAY編集部
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