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物流スタートアップ・ベンチャー特集/第15回

AI配車で物流現場を変える/ログポース羽室CEO

2023年2月14日 (火)

話題LOGISTICS TODAYのスタートアップ・ベンチャー企業を応援する企画「物流スタートアップ・ベンチャー特集」。第15回は、Logpose Technologies(ログポース・テクノロジーズ、東京都渋谷区)の羽室行光CEO(最高経営責任者)です。

「業界にテクノロジーを使った新しい仕組みを作ること」「業界に人が集まってくる環境を作ること」。ログポース・テクノロジーズが物流業界で実現を目指す2つのテーマです。AI(人工知能)を活用して世界中の荷物情報を整理することにより、流通の最適化を促す取り組みを進めています。社会を支えるインフラである物流の抱えるあらゆる課題を解決することで、その現場を担う人が幸せに働ける--。それを現実のものにすることが、私たちの使命であると考えています。

私が物流の世界と最初に出会ったのは、社会人の第一歩を踏み出した経営コンサルティング会社でした。物流業界における企業コンサルティングを担当。クライアント企業の課題を明らかにしてその解決策を示す仕事ですが、ここで強く意識したのが「現場」を重視することでした。物流現場の最前線で汗を流す従事者と直接対話することで課題の本質を見抜くこと。それこそが真の解決策の提案につながる最適な方法だと考えたからです。

こうして出会った運送企業の担当者との対話もヒントにしながら、物流業界の課題解決に向けて独立して取り組むことのできる取り組みを思い描くようになりました。起業を意識するようになると、具体的なアプローチを想定しながら改めて物流業界の課題を整理する必要があったからです。こうしてたどり着いた活動テーマが、的確な物量予測による無駄のない輸配送を実現する自動配車システムの開発だったのです。

(イメージ)

すでに物流業界でも普及が進みつつあった自動配車システム。とはいえ、現場の声に耳を傾けることで見えてきた現実もありました。システムはあくまでシミュレーション(模擬訓練)としての使用にとどまり必ずしも日々の配車業務で十分に活用されているとは言い難い、こんな実情が浮かんできたのです。

それならば、現場における実用的な自動配車システムを提供できないか。起業のイメージは固まりました。想定以上に業務の属人化が強く、それぞれの企業で独自のノウハウが蓄積している物流業界。まさに「百人百様」の仕様に合わせながら仕上げていくシステム開発は極めて困難な作業であることは、もちろん強く認識していました。

AIやビッグデータの研究者である父親の協力もあり、計算エンジンの開発は順調に進みました。しかし、属人化が根強い現場で使ってもらえるシステムを生み出すには、ユーザーインターフェイスの完成度をさらに高める必要がありました。優れた開発者を各方面から紹介していただくことで、こうした高いハードルを超えることのできるチームを結成することができました。こうして生まれたのが、AI配車アシスタント「LOG」(ログ)です。

LOGのコンセプトは明確です。「『本当に現場で使える』にこだわった自動配車システム」。案件情報を入力して最適な配車・配送計画を自動で作成できるほか、こうした計画をドライバーへの伝達をスムーズに進めるため配送指示書にして出力することも可能です。

私たちの夢はどんどん広がっています。モノの流れにひもづく大量のデータは、さらに活用の幅を広げることで、新たな課題の抽出とその解決につなげていく。高度なデータサイエンス技術を駆使することで、それを実現していく。こうした使命感を胸に、他社との連携も踏まえながら物流という社会インフラの抱える課題解決に挑んでいきます。(編集部・清水直樹)

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