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車輪脱落撲滅へナット固定具の販売強化、田坂鋼業

2023年2月8日 (水)

サービス・商品自動車部品販売会社の田坂鋼業(広島市西区)は、トラックなどの車輪脱落防止用の安全装備品「ゼイフティラグロック」の販売を強化している。ホイール・ナットの回転を防ぐとともに、トルクをチェックする時まで締め付け圧力を維持する効果があるという。事業者の法令に基づく日常点検や整備の実施を前提にした上で、「さらに安全な輸送を徹底するツールとして使用してもらい、悲惨な事故防止の抑制につなげてほしい」と導入メリットを説明している。

▲カラフルな色も目を引くゼイフティラグロック

田坂鋼業によると、同製品はカナダのメーカーが生産する国際特許を取得した製品。隣り合っている2つのホイール・ナットを凹凸部分により固定し、特性である弾力性により、相互に緩まないようにロックする仕組みだ。日本国内には同社が初めて輸入した。欧米やオーストラリアなど世界では10年ほど前から使用され、これまでに700万個以上が使用されている。

ホイール・ナットの緩み具合を可視化するホイール・ナットマーカーと異なり、緩みの発生自体を防ぐのが特長。工具がなくても手で簡単に着脱ができ、取り付けたままトルクチェックにも対応できる。素材は一見のゴムのように見えるが、3種類の樹脂を混合した特殊素材を使用しており、使用中に伸びたり溶けたりすることがないといい、耐久性もあることから再利用もできる。

▲ゼイフティラグロックをPRする田坂鋼業の高井部長

田坂鋼業は昨年5月のジャパントラックショーでお披露目して以降、大手宅配業者をはじめ、中小や個人の貨物運送事業者などから受注した。日本での販売開始から8か月で累計1万個を売り上げた。各社ともに購入数量としては限定的で、モニターや試験導入という位置付けが多いと見られるが、同社広域営業部の高井周平部長は「効果を実感してもらえれば、さらに導入企業は増えるはず」と販路拡大に意欲を見せる。希望小売価格は1個900円、10個セットから注文を受け付ける。

ホイール・ナットの緩みは、温度による膨張率の変化やサビ、汚れによって締め付け圧力を失うことで生じる。少しも緩んだ場合、締め付け圧力は急速に減少しホイール・ボルトやホイールを含む構成部品の損傷につながり、車輪の脱落事故の原因となる。

脱輪防止に有効な装備品の活用、あくまで徹底した「安全意識」が前提だ

輸送トラックの車輪脱落事故は、その当事者のみならず歩行者や他の車両への被害を及ぼす可能性が高く、非常に危険だ。さらには交通渋滞を引き起こすことで交通への支障を来たすおそれもあるなど、各方面に多大な損害を与える。物流という観点で見ると、その円滑な運用にマイナスの影響を及ぼすことにより、最悪の場合は社会インフラとしての機能を低下させることにもなりかねない。

当局も主要路線を通行するトラックを対象に、タイヤの適正な装着を確認する取り組みを実施しているが、脱輪事故はなかなか解消しない。輸送事業者による徹底した車両点検も、形骸化している事例が少ないと聞く。多忙な業務を言い訳にすることは許されないとしても、人間による「心構え」に依存した取り組みには限界があるのだろう。

▲ゼイフティラグロックを装着したタイヤ

田坂鋼業が販売する車輪脱落防止用の安全装備品は、隣り合うホイール・ナットを物理的に固定して互いに緩まないようロックすることで、脱輪を防止するものだ。欧米や豪州を中心に世界で多くの導入事例があり、国内でも市場展開を加速していく方針だという。

こうした有効な装備品を活用することで、輸送事業者の現場で車両点検を強化する機運がさらに高まればと願う。間違っても、装備品を装着する取り組み自体が目的となり、点検を怠るようなことがあってはならない。

田坂鋼業の「さらに安全な輸送を徹底するツールとして使用してもらい、悲惨な事故防止の抑制につなげてほしい」とのコメントこそが、この製品を導入する真意であるはずだ。(編集部・清水直樹)

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