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倉庫管理AIで貨物や人員の配置最適化、MatrixFlow

2023年2月9日 (木)

ロジスティクスAI(人工知能)の受託開発やコンサルティングを手掛けるスタートアップのMatrixFlow(マトリックスフロー、東京都台東区)はこのほど、「倉庫管理AI」の構築とその効果の検証結果を発表した。「倉庫作業で最も負担が大きいのは、ピッキング作業における庫内の移動である」との気付きに基づき、今まで活用されていなかったWMS(倉庫管理システム)の中に蓄積されているデータをAIを用いて活用することでピッキングの効率化を実現したという。

これは国家プロジェクトの戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「第2期スマート物流サービス・物流のビッグデータ利活用の研究開発」の一環だ。同社は内閣府から委託を受け、入出荷予測AIとそれを利用した倉庫管理AIの構築と効果の検証を行った。

発表によると、同社が構築した倉庫管理AIは、3つのモジュールで構成される。1つは「出荷予測AI」で、出荷履歴などから未来の出荷(品目、出荷量)を予測する。次の「貨物配置最適化AI」は、その予測出荷情報が与えられた各日付の最適な貨物配置を提案する。3つ目の「行動最適化AI」はピッキング作業の最適な行動をナビゲーションする。

▲倉庫管理AIの構成イメージ(クリックで拡大、出所:MatrixFlow)

大手物流会社から協力を得て、アパレルと化粧品の倉庫に関するデータの提供を受けた。それを元に倉庫管理AIを使ったところ、ピッキング全体の作業時間が29%削減できた。年間で1000時間程度に相当するという。検証の過程では、庫内の配置換えの頻度を調整することで効率化を試した。アパレルの場合は月4回配置換えを行うことで1回の場合より作業時間が7%短縮し、化粧品では逆に月1回の配置換えの方が4回より効率的で、作業時間が5%短縮できた。

また、倉庫管理AIは、倉庫内の棚のレイアウト変更や作業員の配置人数の変更についても、効果をシミュレーションできる。ピッキング人数については、それ以上増やしても全体作業には影響がないという最適人数を見つけ出した。人件費と作業員負担を考慮した人数調整につながるという。

倉庫管理AIは、すでに大手の菓子卸会社が導入済みで、現在、ほかに5社が導入を検討中という。同社は2025年までに1000社に導入できると見込んでいる。

▲MatrixFlowの田本芳文社長

この発表は、東京都新宿区で2月7日に行われたスタートアップ3社による「物流のビッグデータ活用最前線」の共同記者会見で行われた。マトリックスフローの田本芳文社長は、「将来的にはロボットとの接続を考えている。未来には、無人倉庫のためのサービスになるだろう」と話した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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