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G7広島やASEANで貿易PFを世界に、政府方針

2023年2月21日 (火)

話題国際物流プラットフォームを提供するShippio(シッピオ、東京都港区)が主催する、国際物流や港湾物流などの貿易DX(デジタルトランスフォーメーション)に特化したセミナー「貿易テックカンファレンス2023 Spring」が21日にオンラインで開催された。経済産業省の担当課長をはじめ、民間企業・団体のゲストら7人が登壇。世界的な貿易プラットフォーム(PF)事業に関する動向や、ことし5月のG7広島サミット開催などを契機に、政府として日本発の貿易PFを世界に向けて発信していく方針について発言があった。

3部構成で行われたイベントのうち、第2部のパネル討論「日本発貿易プラットフォームの未来」では、経産省貿易振興課長の阿部一郎氏、貿易情報連携プラットフォームを提供するトレードワルツ取締役COO兼CMOの染谷悟氏、Shippio取締役COO兼CROの土屋隆司氏が登壇した。

▲経産省貿易振興課長の阿部一郎氏

阿部氏は、政府として2023年が世界に向けて貿易PFを対外発信する好機との認識を持っていることを明らかにした。具体的には、日本が議長国を務めるG7広島サミットや日本とASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力50周年といった大きな国際イベントが相次ぐと説明。「注目が集まる機会。貿易の円滑化、ファシリテーションの基盤づくりをしっかりやるというメッセージを出す。それをきっかけに、世界のプラットフォーマーとつながることができる土壌づくりを個別の支援事業とともにやっていく」と力を込めた。

▲トレードワルツ取締役COO兼CMOの染谷悟氏

染谷氏は、マースクとIBMが貿易PF「トレードレンズ」をことし3月末までに廃止することについて所感を問われると、「客観的な話」と前置きした上で、PFには「1業種特化型」と「産業横断型」の2種類の戦略があり、トレードレンズは1業種特化型であると指摘。その上で、欧米では1業種特化型の撤退・買収が相次いでいると現状を明らかにし、トレードレンズも例外ではなかったとの見方を示した。

また、1業種特化型PF撤退の背景に関しては「1業界内でデジタル化を進める場合、ジャイアントプレーヤーとの戦いになり協調ではなく競争の領域になる」などと持論を展開。自社が手掛ける産業横断型PFには、貿易業界が抱えている意思疎通の課題解消などに寄与し「裏方になるポジションを取ることで産業競争力が出せる」と1業種特化型との違いを強調した。

▲Shippio取締役COO兼CROの土屋隆司氏

土屋氏は、日本の物流業界全体が持つ課題として、貿易や物流の世界には失敗が許されない「減点方式」のような風潮があると指摘。「できて当たり前と思われすぎている」と述べ、期日通りにものを届けるため、綿密に計画されて実行されている現状の業界を評価しつつも、リスク回避だけでなくチャレンジによる業界の活性化に期待を寄せた。

今回のイベントは、3月2、3の両日に開催する物流業界のリーダーやキーマンが集うセミナー「Logistics DX SUMMIT 2023」のプレイベント。第1部は、東京海洋大海洋工学部流通情報工学科の渡部大輔氏と、みなと総合研究財団主任研究員の飯田純也氏が、CyberPort(サイバーポート)による港湾物流DXをテーマに講演した。第3部では、双日金属・資源・リサイクル本部の永田しおり氏、Shippioの竹原功将氏が登壇した。第2部はLOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長がファシリテーターを務めた。

▲(左から)東京海洋大海洋工学部流通情報工学科の渡部大輔氏、みなと総合研究財団主任研究員の飯田純也氏

国際物流DXテーマにカンファレンス、Shippio