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同じ地番が3軒!?/ドライバー日誌第22回

2023年7月27日 (木)

話題スマートフォンの地図アプリケーションに搭載されたナビゲーションシステムとの上手な付き合い方。それを修得しているか否かで、宅配ドライバーの業務効率が大きく変わる。最も避けなければならないのは、ナビに全面的に依存したルート設定だ。

「ナビが間違ったので配送が遅れました」という言い訳が存在しないのは、言うまでもない。とはいえ、現場で配送に携わるドライバーは、せっかく頼りにしていたナビがマンションの裏側を案内した場合に、思わず恨み節が飛び出すのは、致し方ないのも実情だ。

▲同じ地番が並ぶ住宅地では、顧客宅以外の情報も重要な判断データだ

ナビが正確に案内しても、誤配に直結する事例もある。同じ地番の住宅が複数存在するケースだ。例えば、「16番17号」という住居表示の住宅が3棟、連続しているといった具合だ。都市部に近く、比較的古く開発された住宅密集地では、決して珍しいことではない。家主が表札を出してくれていれば何ら問題はないのだが、近年の個人情報保護の観点からか、表札も地番表示もないケースが増えているという。ドライバー泣かせの風潮である。

こうした場合は、かつて届けた実績があれば、伝票の申し送り事項を確認するのが基本動作になる。「赤いポストあり」「玄関に手作りの飾り物あり」「左隣は山田様」「黒い子供用自転車が玄関先にあり」――。こうした情報が少しでも手元にあれば、かなりの確率で誤配を防ぐことができる。こうした事前情報がない初めて契約した顧客の場合は、訪問前に電話を入れる。通話できなければ、呼び鈴を鳴らして顧客宅を絞り込んでいくしかないが、やみくもに押せばよいというものでもない。やむなく荷物をセンターに持ち帰る選択もありうるのだ。

もちろん、こうした訪問先も配達実績が一度生まれれば、次は前回の手順に従ってルートを選んで居宅を特定すればよい。表札がなくても、何か訪問先の特徴を伝票に記載しておけばよいのだ。曲がり角からの軒数、向かい側や隣の表札や地番、電柱や消火栓などの公共物の有無――。「宅配という仕事は、情報を集めて訪問先を特定するゲームだ」と豪語する同僚がいるが、あながち外れていない考え方かもしれない。(つづく)

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