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ナビ案内の落とし穴/ドライバー日誌第20回

2023年7月20日 (木)

話題ここまで、狭い道路で少しでもスムーズに宅配業務を進められる取り組みを、持論を交えて紹介した。もっとも、「言うは易く行うは難し」(いうはやすくおこなうはかたし)とはまさにこのことで、現実に軽バンで宅配現場に出てみれば、そんなにうまくいくケースばかりではない。ここでは、こうした素養を頭に入れながらハンドルを握ることで、少しでもトラブルや時間のロスを未然に防げる可能性が高くなると考えている。

あらかじめ設定した配送ルートに従って車を進めていく中で、うまく付き合わなければならないのが、地図アプリケーションの道案内。いわゆるスマートフォンのアプリによるナビゲーションだ。かつて、先輩ドライバーは紙の地図とにらめっこしながら宅配場所を探したものだというが、今やスマホをダッシュボードの上に設置してアプリを起動すれば、渋滞を避けた最適ルートと到着予定時刻を教えてくれる。現代のドライバーは楽になったものだというべきところだが、そこには大きな落とし穴がある。

▲ナビゲーションシステムに自身の記憶や経験を組み合わせることで、目的地を探し当てる

その代表例が、マンションやハイツなどの集合住宅への道案内だ。こうしたアプリは、建物の場所を教えてはくれるものの、その玄関口や道路からの進入経路まで指し示してくれるわけではない。「案内を終了しました」との音声に安心していると、実はマンションの裏側の道路を案内されていた――。そんなケースは決して少なくない。

さらに、最近開発されたばかりの新興住宅エリアでは、住居表示がアプリに反映されておらず、詳細なナビが不可能な場合もある。古い住宅街でも、一方通行で進入できないにもかかわらず推奨ルートとして案内されてしまい、逆走してしまいそうになった失敗も経験した。

こうした誤ったナビへの対策として、どんな取り組みが必要なのか。集合住宅への配達時に気を付けているのは、建物周辺の状況を「ストリートビュー」や「360度ビュー」といった画像で確認しておくことだ。マンションの駐車場や玄関の様子や、進入できる道路を調べておき、その進入地点をナビの目標地点に設定しておけば、誤って裏道に案内されることもない。さらに、軽バンを置いておくスペースの有無や駐車場所を想定しておくことも可能になる。(つづく)

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