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ナビの世界を超越する新興住宅地/ドライバー日誌第21回

2023年7月25日 (火)

話題宅配ドライバーの強い味方である、地図アプリケーションのナビゲーションシステム。上手に活用しなければ、時には裏切られることもある。むしろ、ドライバーがこうしたシステムをうまく使いこなすくらいがちょうどいいのだ。

新興住宅地の場合は、ナビに住居表示が反映されていないこともある。とはいえ、宅配をスムーズに進められないという言い訳は通用しない。むしろ、こうした道路は古い住宅街と比べても幅員が広く、車両で巡回しやすいのだ。

▲ナビゲーションシステムに反映されていない新興住宅地では、車で接近してロケハンすることで目的地に到達することもしばしばだ

番地は当然ながら、順番に振り分けられている。新しい住宅の場合は、必ずしも地番が掲示されているわけではないものの、たとえ1軒でも番地が判明すれば、そこから追跡していくことが可能だ。ゆっくりと車を走らせても、他の車両に迷惑をかけるおそれはほとんどない。

プロドライバーとして賛否が分かれるところだが、どうしても地番が分からず目的地に到達できないならば、道端にいる住民に地番を尋ねるのも手だと考えている。ドライバーの最大の使命は、荷物を正確で時間通りに顧客に届けることだ。そのための手段は、時間ロスの積算に反比例して絞られていくからだ。

私も、同様の方法で地番を探り当てた経験がある。地番のイメージが頭の中に出来上がると、同じ住宅街で他の訪問先への配送案件が発生した際にも応用できるのだ。詳細な記憶はなくても、頭の中にあるイメージの残像を手繰り寄せることができるものだ。むしろ、ドライバーならではの「直感」がこうして形成されていくのだろう。

こうした経験を積み重ねることで、ナビの世界を超越していく。これが本物の宅配ドライバーなのだ。ナビが地番を把握していない新興住宅地での宅配経験は、それを実感する絶好の場面だった。(つづく)

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