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日本郵船が通期利益を上方修正、完成車生産回復で

2023年8月3日 (木)

財務・人事日本郵船は3日、通期連結業績予想を修正した。売上高は当初予想の2兆3000億円から2兆1700億円(前期比17.1%減)に引き下げる一方、経常利益は2000億円から2200億円(同80.2%減)、最終利益も2000億円から2200億円(78.3%減)に上方修正する。

不定期専用船事業において、自動車事業部門で当初予想よりも半導体など部品不足の解消による完成車生産台数の回復がみられ、引き続き強い輸送需要を想定。ドライバルク事業部門では、中国経済の先行き不透明感が残り市況前提の予想を引き下げた。定期船事業は、秋口以降に輸送需要が一定程度回復することを見込むものの、当初予想よりも回復幅は縮小するとみている。

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同日発表した24年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同月比15.7%減の5675億1500億円、経常利益が同76.3%減の894億300万円、最終利益が78.6%減の734億9000万円と大幅減収減益だった。

定期船事業全体の売上高は8.8%増の564億円と増収、経常利益は2385億円減だった。コンテナ船部門では、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、シンガポール)においてスポット運賃の下落が契約更改にも影響するなど利益水準が低下。主要航路のうち北米航路の積高は前年同期並みを保ったが、欧州航路では下回った。国内ターミナルでは前年同期からコンテナ船のスケジュールが正常化したことで取扱量が増加。海外ターミナルでは低調な荷動きにより取扱量が減少した。

物流事業の売上高は31.3%減の1647億円、経常利益は122億円減。航空貨物取扱事業は国際旅客便の供給スペースが増加するも荷動きは低調に終わり、海上貨物取扱事業ではアジア発北米向けなどの長距離航路を中心に荷動きが低迷したことで、いずれも取扱量と利益水準が減少した。ロジスティクス事業では欧州での自動車関連産業の好調な荷動きや、北米における一般消費財の底堅い上で堅調に推移した。

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不定期専用船事業では全体の売上高が1.4%減の2880億円、経常利益が100億円減となった。自動車事業部門は完成車生産台数が回復した一方で船腹供給は限定的で、労働者不足に起因する港湾混雑も見られて需給がひっ迫した。そんななか、最適な配船計画と運航で船舶の稼働率を向上させ、輸送台数は増加した。自動車物流では完成車の荷動きの回復で、特に欧州や東南アジア地域で取扱量が増加した。

ドライバルク事業では、ケープサイズが中国経済の回復遅れで減少。パナマックスサイズ以下は石炭と穀物の荷動きは堅調だったが市況は前年同期を下回った。このような環境のなか、先物取引を用いた市況変動リスク低減に取り組み、長期契約獲得による収入の安定化、効率的な運航によるコスト削減に努めた。

エネルギー事業部門では、VLCC(大型原油タンカー)は市況が比較的堅調に推移し、低迷していた前年同期から大幅に回復。石油製品タンカーはロシア・ウクライナ情勢の影響によるトレードパターンの変化で輸送距離が延びた。VLGC(大型LPGタンカー)は米国からアジア地域への長距離輸送が増加したことで市況は前年同期を大きく上回った。LNG船は長期契約に支えられ順調に推移した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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