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荷主がドローンの物流活用主導する動き

花王、重量運搬ドローンで日用品配送

2023年9月20日 (水)

調査・データ中山間地域で物流を確保する手段のひとつとして、ドローンを活用する動きが目立ってきた。これまで物流にドローンを活用する動きはドローンメーカーや電力会社、地図製作会社などの”インフラ系”企業、アマゾンや楽天などのEC(電子商取引)プラットフォームなどが中心だったが、荷主企業がこうした取り組みを主導しはじめた。

(イメージ)

花王は28日、兵庫県養父市の中学校で、重量運搬ドローンの自動運行技術を用いて日用品などの一括輸送の効果を確かめるための実証実験を行う。20キロの重さの荷物が積載できる大型ドローンを使用する。併せて、山を越える環境下で電波を安定的に確保することや、飛行の安全性を担保できるかといったことも検証する。

同エリアへの商品輸送は現在、丹波エリアにある同社物流拠点からトラック輸送で行っているが、今後は実証を重ねた上で、「(ドローン配送の)事業化を視野に入れている」という。段階に応じてドローンデポの開設なども検討するが、事業化の時期や他社との協業については決まっていない。

同社は兵庫県と新産業創造研究機構(NIRO)によるドローン社会実装促進実証事業として、養父市や「重量運搬ドローン技術を持つ企業とともに自動運行技術を使った重量運搬ドローンによる日用品一括輸送を実施する。ドローンによる輸送だけでなく、自動配送ロボットと連携させて配送の無人化が可能かどうかも確かめる。

実証実験の当日は花王のSCM部門製造統括センター長で先端生産技術を担当する山口浩明上席執行役員と、SCM部門ロジスティクスセンター長の山下太氏が出席。市立養父中学校食堂ホールで行われる説明会で花王が同社のめざすドローン物流についてプレゼンテーションを行った後、スーパーマーケットの駐車場からドローンが離陸。15分離れた距離にある同中学校の校庭では自動走行ロボットを待機させ、そのロボットにドローンが「着艦」するプロセスを検証する。

同社は7月に養父市と連携協定を交わし、過疎地や山間部での物流課題の解決に取り組んできた。また2020年にライオンとの協働によるスマート物流への取り組みを開始したほか、22年10月には和歌山下津港でRORO船の定期航路を実現して製品の安定供給につなげる取り組みを行うなど、「共創型」物流プラットフォームづくりに力を入れている。

今回の実証実験については「新たな効果的な物流網の構築に向けた第一歩であり、今後もさまざまなドローン技術の特性を活かした実証実験を継続的に実施していく」との方針を示している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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