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北米最大の港湾労組が破産法申請、国際物流へ影響は

2023年10月4日 (水)

国際米国西海岸、カナダの港湾労働者で構成する国際港湾倉庫労働組合(ILWU)が9月30日(現地時間)に米連邦破産法第11条の適用を申請してから4日、これまでのところ懸念された荷役業務の停滞も生じていないが、関係者は今後の動向に注意を払っている。

ILWUが今回の判断に至った経緯はこうだ。連邦裁判所は2019年、ILWUが13年から17年までに実施したストライキなどにより、その期間中にポートランド港で出荷ターミナルを運営していたICTSIに対して9360万ドルの損害賠償金を支払うよう、組合に命じた。

その後、裁判所は損害賠償金を引き下げたが、今度はICTSIが拒否、最高1億4200万ドルに引き上げて新たな裁判スケジュールを組むよう促していた。これに対し、組合側は損害賠償が390万ドルを超えれば弁護士費用などをカバーするための資金が不足する、と警告。それでも事態が動かないことを受け、9月30日深夜の申請に至ったようだ。

ILWUは今回の破産法適用申請について「12年から独立系コンテナターミナルオペレーターのICTSIとの間で長引く訴訟を解決するための措置だ」と説明。またICTSI側も過去の声明で、自社の立場と主張を明確にしており、双方の間で法的な対立が続いている。

日本の貿易に与える影響も懸念されているが、ILWUは声明の中で業務の継続を主張。米国西海岸の港湾は日本の輸出入の主要なゲートウェイの一つであり、ILWUの動きによる業務の停滞や遅延が生じると、日本製品の輸出や資源・商品の輸入に影響が出るおそれもあるだけに、今後の成り行きが注目される。

ILWU会長のウィル・アダムス氏は、声明で「私たちは組合の未来を確保し、メンバーやコミュニティーのための重要な役割を果たし続ける方針だ」と述べ、破産法の適用申請が荷役業務の継続に影響を及ぼさないとの考えを強調している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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