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的確な搬送につながる「3台の連携」/ドライバー日誌第36回

2023年10月12日 (木)

話題私を含めた3台の軽バンの荷台に、缶の飲料ケースがいっぱいに詰め込まれた。いよいよ、配送先である大阪ベイエリアの物流倉庫まで運ぶ作業が待っている。

当然ながら、3台とも目的地は同じだ。それならば、3台がばらばらに走行するよりも、一緒に移動した方が効率的だ――。ところが、出発して間もなく、それがいかに難しいことであるかを実感することになる。

(イメージ)

出発して数分ほど走ったところで、大きな幹線道路へ出る交差点があった。そこで、3台隊列の最後尾を走っていた私は、信号の変わり目に先の2台に続くことができず、大きく遅れを取ってしまったのだ。ようやく青に変わり発進したが、すでに先行する2台の姿はない。決して余裕のある行程でもない。法定速度を維持しながらも、目的地へ急いだ。

この日は早朝から強い雨が降り注ぐ。大阪市内へ続く幹線道路は渋滞が激しく、なかなか進まない。先行の2台は目的地に近づいているのだろうか。道を間違えないように、慎重に交差点を確認しながら、車を進めていく。ここで禁物なのは、焦りだ。雨で路面にも水たまりがあちこちにできている。重い荷物を積んでおり、ただでさえ滑りやすくなっているのだ。ここでスピードの出し過ぎは危険だ。

目的地である物流センターでの搬入時間まで30分を切った。スマートフォンの地図アプリケーションが、「目的地まであと10分」と告げる。最後に時間を無駄にしないように、気を抜かずに正確なルートを走らなければならない。あと交差点を1カ所通過すれば目的地のあるブロックに着くタイミングで、携帯電話が鳴った。「今どのあたりですか?」。先頭を走っていたドライバーからの連絡だった。

(イメージ)

「あと3分で到着します」「分かりました。倉庫の入り口の路肩に止めて待機しています」――。ちょうど3分後、倉庫の入り口の手前でハザードランプを点滅させている2台の軽バンを確認した。私が軽バンを2台の後ろに着けると、すぐに2台が発進。今度こそは遅れまいと、私もぴったりと後を追った。

輸送現場では、こうして複数の車両が同じ目的地を目指して走るケースも珍しくない。相互の車両で連携を密にすることで、スムーズな輸送につながるのだ。今回は私が遅れたが、先行車が待機して留意してくれたおかげで、商品搬送に支障を来たさずに済んだのだ。(つづく)

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