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箱積み作業に垣間見る物流現場の奥義/ドライバー日誌第37回

2023年10月17日 (火)

話題大阪ベイエリアの物流倉庫に、缶の飲料ケースを軽バン3台で搬送する業務。私が先行する2台に遅れを取ってしまったものの、目的地へ到着するところまでは何とか遅滞なく進めることができた。

物流倉庫に入りスロープを進んで目的のフロアへ向かう。先導するリーダー格のドライバーが、荷を下ろす場所を探している。広々としたフロアのどこに荷物を置けばよいか。構内の作業担当者に確認を繰り返しながら、正確な目的地を探していく。

ようやく荷下ろしの場所が確定したようだ。3台の軽バンを並べて止めると、荷台から商品を取り出す作業を直ちに始めなければならない。

パレットの上に商品を並べていくのだが、ここでリーダーから指示を受けた。「商品の箱は写真で示した通りに並べて積んでください」。単純に箱を積み上げてはいけないのだ。フォークリフトによる搬送などの際に、パレットに積み上げた商品が崩れないよう、独特の積み方があるのだ。

(イメージ)

パレットへ箱を積む場合、1段目から2段目、3段目と同じ方向で積み重ねると不安定になる。一般的に、1段目と2段目は違う向きで積むことで、こうしたリスクは軽減できる。つまり、「1段目と2段目、5段目」と「2段目と4段目」をそれぞれ同じ向きで積めば荷崩れを防げるというわけだ。

とはいえ、いざ現場で商品をパレットの上に積み上げるとなると、なかなかイメージ通りに手を動かすことができない。同行したドライバーに「向きが違う!」と繰り返し注意されながら、何とかペースをつかんでいった。こういう場合はあえて、「なぜうまくいかないのだろう」などと疑問を持たず機械的にこなす方がスムーズに仕事をこなせる。要するに慣れることなのだ。

パレットの上に箱を積み上げる。誰でもできる仕事と思ってしまううちは、物流の現場を理解していない。そういう発想で取り組む必要がありそうだ。どんな作業にも、必ずその道の「奥義」があるのだ。(つづく)

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