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気の抜けない構内作業/ドライバー日誌第33回

2023年9月22日 (金)

話題軽貨物業界を取り巻く在り方談議に花を咲かせているうちに、目的地の最寄りのインターチェンジが迫ってきた。ここからは10分足らずで到着する。ここからは一般道路を走行することから、信号での停止時には細心の注意が必要だ。

(イメージ)

インターチェンジの料金所を抜けると、県道に出る交差点の信号があった。いつもの荷物搬送時よりもさらにゆっくりとブレーキを掛ける。それでも心配になり、つい荷台を振り返ってしまう。もちろん、積み込んだままの状態で固定されているのだが、少しでもバンドが緩んでいないか気になってしまうのだ。

山間の街並みを走り抜けた田園地帯に、目的地はあった。遠くからでもはっきりと分かるほど、この周辺では目立つ真っ白な建物だ。玄関の門をくぐると、守衛室の前で停車する。入構時の手続きが必要なのだ。フルネームと所属、目的を記入して入構証を受け取る。その後、時速15キロで構内の奥にある倉庫へ向かうのだ。

倉庫が右手に迫ってきた。搬入口に荷台から降ろしやすいよう後退して車を寄せる。無事に到着した。すかさず、ベテランドライバーが確認を求めた。「輪止めを忘れないでくださいよ」

(イメージ)

実は、衝撃を極力抑えた運転に気を取られてしまい、輪止め作業を失念していたのだ。ベテランドライバーは、そこに気付いていたのだろう。降りてすぐに輪止めを取り出し、右側の前輪の前後に装着した。

さあ、いよいよ機器の積み下ろしだ。バンドをゆっくりと外す。箱への傷もなく、ここまでは順調に運ぶことができた。箱を台車の後部にゆっくりと引き出しながら、搬入口の上下移動式の台に載せ替える作業を始める。

ここは、2人で箱を下から抱えながらゆっくりと台まで運んでいく。ここで落としでもしたら、ここまでの慎重な作業も水泡に帰してしまう。もちろん、滑り止め機能のある手袋は着けているものの、ちょっとした気の緩みで地面に落としてしまってはならない。時間は十分にある、あせりは禁物だ。(つづく)

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