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物流連、モーダルシフト取り組み優良事業者を表彰

2023年11月21日 (火)

認証・表彰日本物流団体連合会(物流連)は21日、2023年度「モーダルシフト取り組み優良事業者表彰式」を都内で開催した。大賞には佐川急便の「飛脚JR貨物コンテナ便」と、全国通運の「卸売業者と複数の小売業者の連携による鉄道貨物へのモーダルシフト」が選出。大賞に2社が選出されたのは7年ぶり。

佐川急便は宅配便では取り扱いが困難な大きい荷物や、一度に大量の荷物を送りたい場合に、鉄道輸送に切り替えるサービスを構築。ビルや狭路など鉄道コンテナが進入できない場所では通常のトラック輸送を活用し、貨物駅近隣の営業所や貨物駅構内の積み替えステーションでコンテナに積み替えることを可能とした。全国2万6000人のセールスドライバーが、トラックだけでなく鉄道コンテナの貸し切り営業も行うことで、鉄道を使用したことがない中小企業を含め、さまざまな客層に販路を広げている点が高く評価された。

全国通運は卸売業者と複数の小売業者とを連携して小口配送していた商品を集約し、トラック輸送から鉄道輸送に転換。物流を集約することで、個々の小売業者では利用の難しかった鉄道輸送が可能となり、元々は鉄道輸送を行っていなかった商品も輸送できるようになった。小売業者各社がそれぞれ調達し、注文があるたびに個別配送していた輸送を、複数の小売業者で協議会を作り、互いに物流・商流をデータ化、配送を見える化して集約配送ができるように調整を行った。


▲(左から)物流連の真貝康一会長と記念撮影する佐川急便取締役の栗和田武氏、全国通運取締役の長岡真一氏

その他、優良事業者賞は次の通り。

【実行部門】

山九
全社的な幹線区間の輸送で、鉄道・海運の利用比率が40%超を達成

日本通運
全社的な幹線区間の輸送で、鉄道・海運の利用比率が40%超を達成

【新規開拓部門】

SBS東芝ロジスティクス(東京都新宿区)
千葉県から大阪府への照明機器輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現。CO2排出削減とドライバーの負荷軽減を鑑み、東芝ライテックの商品の拠点間輸送を6割から波動変動分を除く9割まで鉄道輸送へ転換した。

NRS(千代田区)
兵庫県から静岡県への化学製品輸送において、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現。年間73%のCO2排出削減、トラックドライバーの負担軽減を実現。

タイセイ(埼玉県戸田市)
主要取引先である赤城乳業(深谷市)の埼玉県本庄市・深谷市の工場から全国への輸送を一手に引き受けており、九州地区の一部を鉄道輸送に転換、CO2排出の削減やドライバーの運転時間削減を実現した。ことしから岡山地区にも鉄道輸送を拡大し、今後は東北、関西地区もモーダルシフトを行う予定。

日本通運
専門商社の福岡県と群馬県の小型家電・家具製品などの拠点間輸送につい て、トラック輸送からRORO船を利用した海上輸送へのモーダルシフトを実現。現在、拠点間輸送の9割超が海上輸送に移行しており、今後毎週の定期的な運行を目指す。

【有効活用部門】

山九
3案件の海上輸送へのモーダルシフトを実現した。山口県から千葉県への大手機械部品メーカーTHKの精密機械部品輸送について、トラック輸送からトレーラーを利用した海上輸送に転換。年間72%のCO2排出とドライバーの運転時間削減を実現した。岐阜県から佐賀県へのアルミテラ製缶(東京都文京区)の製缶輸送について、トラック輸送からRORO船を利用した海上輸送に転換し、年間72%のCO2削減と9800時間のドライバー運転時間を削減した。広島県から千葉県への化学製品の輸送についてトラック輸送から海上輸送へ転換し、CO2排出削減とドライバー負担軽減を実現。ハイキューブ20フィートコンテナと薄型14パレットを使用することで積載効率を高め、トラック輸送時と比較して年間運行回数を25%削減した。

丸和通運(荒川区)
茨城県から大阪府への紙輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現。荷主の北越コーポレーションの理解もあってリードタイムをプラス1日で鉄道輸送に転換。輸送が堅調のため、現在は当初の倍量を増送し、エアバックなどの資材返送も週1回鉄道で行っている。

表彰式後の会見では、物流連の真貝康一会長、長谷川伸一理事長から2023年度上半期(4-10月)の事業報告があった。基本政策委員会では総合物流施策大綱や物流革新に向けた政策パッケージ、物流革新緊急パッケージの推進に受けた協力や連携を協議。人材育成では、物流業界インターンシップや、寄付講座、大学セミナーの講師派遣などを行った。国際業務については海外物流戦略ワーキングチームを2回開催するなど、海外物流事情の情報共有に努めた。物流環境対策では、モーダルシフト優良事業者の選定や、物流分野における低炭素・脱炭素化促進に向けた情報交換会を2回開催。経営効率化に関しては、高齢者や外国人の就労に関する会議や勉強会を開催した。

▲(左から)物流連の長谷川伸一理事長、真貝会長

その後の懇親会では、真貝会長が冒頭で挨拶。「今後は人材の確保と、物流効率化を推進するための標準化が特に重要になってくる。荷主、消費者などに物流、さらには物流が抱える問題を正確に認識してもらう、理解してもらうというところを、物流連として広報活動などを重視してやっていきたい。関係者一同、次世代の物流づくりにまい進していく」と語った。

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LOGISTICS TODAY編集部
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