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関東運輸局、関係者と連携し一体的な取り組み進める

2024年1月4日 (木)

話題関東運輸局の勝山潔局長による年頭所感の要約は以下の通り。

(以下要約)

交通・運輸・観光などの事業者におかれましては、ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響や、昨今では燃油価格および物価の高騰、深刻化する労働力不足といった厳しい社会・経済情勢が続くなか、安全・安心なサービスを提供するため日々ご尽力されておりますことに、心から敬意を表します。

昨年は、5月に新型コロナウイルス感染症のいわゆる分類が5類に移行後、国内外からの観光需要が回復し、これに伴い鉄道・バス・タクシーなどの交通機関の輸送実績についても回復傾向となっていますが、厳しい情勢は引き続き継続しており、急速な需要回復への対応や差し迫った「2024年問題」などを含め、交通・運輸・観光などの事業者環境は厳しい状況が続いています。

関東運輸局としましては、国土交通省をはじめ政府として講じている支援策を活用し、安全・安心をしっかり確保した上で、利用者利便向上、経営環境改善、地域活性化などの取り組みを引き続き行ってまいります。以下、関東運輸局が取り組む具体的な施策について申し上げます。

第一に深刻化する労働力不足への対応です。各事業者においては、採用活動や労働環境の改善に精力的に取り組んでおられるところですが、関東運輸局としても、運賃改定をはじめ各種の施策により、昨年に引き続き本年もしっかりと対応させていただきます。

トラック事業では、昨年7月に創設された「トラックGメン」による働きかけや個別荷主企業への文書送付、関東商工会議所連合会への働きかけなどを通じ、トラック事業者の適切な運賃・料金の収受が進むよう、関係行政機関とも連携し、荷主・元請け企業の理解を促進してきました。荷主・元請け企業においても「2024年問題」に対する関心は高く、理解が進んでいるように受けとめております。トラック事業者においては、この機を逃さず、荷主・元請け企業との運賃交渉に臨んでいただきたく存じます。また、「標準的な運賃」の制度についても、昨今の法改正で時限措置ではなくなっていますので、引き続きご活用願います。

さらに、自動車運送事業に従事する方々が働きやすい環境の整備も一層進めていく観点、トラックドライバーの労働環境の面からも、長時間の荷待ち解消に向けて、先に述べた「トラックGメン」による働きかけなどの取り組みを通じ、荷主等関係者の理解を促進してまいります。

また、運行管理の面に着目すると、ICT(情報通信技術)を活用した運行管理業務の高度化に向けた取り組みが加速化しています。昨年3月には、要件を満たす機器・システムを用いて、遠隔拠点間で行う遠隔点呼や乗務を終了した運転者に対する乗務後自動点呼の実施のために必要な規定が整備され、さらに、昨年11月からは、同一事業者間のみならず事業者をまたぐ(100%の資本関係にないもしくは資本関係のない事業者間)遠隔点呼が先行実施されております。運輸局・支局においても必要な手続きの周知などを行い、引き続き運行の効率化を促進してまいります。

海事分野でも、船員については、その約半数が50歳以上であるなど高齢化が顕著であり、近年では、若年船員の雇用確保の取り組みにより、30歳未満の若年船員の割合が徐々に増加しつつあるものの、依然として船員不足は深刻な状況です。このため、関東運輸局では、引き続き、船員の雇用のマッチングを図るための「めざせ!海技者セミナー」や水産系高等学校の生徒を対象にした「旅客船インターンシップ」、管内教育機関の就職指導担当教諭および内航関係団体などによる「若年船員就職促進懇話会」などを開催するなど、関係機関とも連携し、若手をはじめとした積極的な船員確保に取り組んでまいります。

さらに、トラック輸送から鉄道や船舶へのモーダルシフトを、荷主および物流事業者を中心とする関係者の連携のもとに推進し、併せて省人化・自動化の取り組みを進めることで物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、物流効率化を加速させて参ります。

自動運転の実用化に向けては、自動車メーカーなどが技術開発に取り組み、国も車両に関する安全基準の策定、制度・環境整備を進めており、各地においても実証実験が積極的に行われております。昨年10月、関東運輸局管内でも初めて運転者を必要としない自動運転(レベル4)が開始されましたが、引き続き、自動運転車に係る制度の適切な運用を行うとともに、自動運転の実用化に向けた管内の実証実験に関して技術的・財政的な支援を行うなど、自動運転の実用化・普及に向けた取り組みを進めて参ります。

さらに、自動車運送事業への安全対策については、「事業用自動車総合安全プラン2025」を踏まえて交通事故削減目標を定め、各種施策を盛り込んだ「関東地域事業用自動車安全施策」を取りまとめ、継続的にフォローアップを図り、事故削減の取り組みを推進しているところです。令和5年度については、「飲酒運転」、「乗合バスの車内事故」、「健康起因事故」、「大型車の車輪脱落事故」の削減を重点課題と位置付け、その他の課題とともに削減のための取り組みを推進し、引き続き、関係事業者団体などと連携して事故削減に取り組んでまいります。

自動車の安全性や環境保全、安全・安心な車社会の維持については、点検整備の実施、不正改造車の排除が重要であることから、本年も引き続き自動車点検整備推進運動や不正改造車排除運動を展開するとともに、関係機関と連携して大型車の車輪脱落事故防止のための取り組みを進めてまいります。また、無車検車対策としてナンバー自動読み取り装置を活用し、警察と連携して取り締まりを実施いたします。

自動車検査・登録手続きについては、昨年1月より電子化された自動車検査証の交付を開始しております。併せて開始された、特定記録等事務委託制度により、継続検査などにおいて委託を受けた行政書士、指定整備事業者などが車検証情報を更新することが可能となり、「ワンストップサービス」(OSS)の利便性が向上しました。これを機に、より一層の特定記録等事務委託制度およびOSSの利用促進を図ってまいります。さらに、窓口業務フローの見直しに向けた取り組みとして、自動車検査登録手続きの「デジタル化」を推進し、さらなる申請者の利便性向上を図ってまいります。

また、令和6年10月からの継続検査において、衝突軽減ブレーキなどの自動運転技術に用いられる電子制御装置の、目に見えない故障に対応するための電子的な検査を開始することとしており、関係機関と連携して検査が円滑に開始されるよう準備を進めてまいります。

近年、自然災害が頻発化・激甚化、さらに広域化するなかで、国民生活や社会経済活動の維持に大きな役割を担う交通・運輸事業者には、発災時においてもできるだけ被害の軽減と拡大を防止するとともに、業務活動の維持や早期復旧を図ることが期待されており、自然災害への対応力向上が求められております。関東運輸局では、「運輸防災マネジメント指針」を基に、運輸安全マネジメント評価の実施と併せ、各種セミナーなどを通じて運輸事業者の取り組みを支援してまいります。

大規模災害発生時には、交通に大きな影響が出ることが懸念されます。関東運輸局としましては、日頃より事業者、業界団体、地方自治体などの関係者との連携強化を図り、発災後の混乱状態においても、適切な対応が取れるよう引き続き各種取り組みを進めて参ります。

また、災害時の支援物資物流において必要となる物資拠点については、関係業界団体や物流事業者の協力を得てリスト化しているところであり、引き続き、さらにより多くの多様な民間物資拠点がリストアップされるようリストの拡充に努めてまいります。

以上、新しい年を迎えるにあたり、関東運輸局における施策、所信の一端を申し上げましたが、これらの実効性を高めるためには、地方自治体、交通・運輸・観光事業者をはじめとする関係者と連携した一体的な取り組みを進めることが必要不可欠であります。今後とも、関東運輸局の行政の推進に関し、皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の新年の挨拶とさせていただきます。

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